崖っぷち舞台役者が婚活を始めたら英語がペラペラになりました

30代半ばの婚活難民が英語学習に流れ着き、TOEIC955点、英検準1級を取得。次なる目標は英検1級。留学なしでどこまでいけるか挑戦中。

Break a leg! は呪いの言葉ではなく…?舞台生まれのイディオムの摩訶不思議。

こんにちは。

 

Break a legというイディオムを聞いたことがありますか?直訳すると「脚を折れ」。何とも恐ろしい言葉ですよね。

実はこれ、舞台関係者が使うイディオムなんです。意味は「頑張って」。ステージに向かう役者やミュージシャンにかける応援のメッセージです。

意味が全然違う!!!!!

今日はわたしの所属する劇団、オイスターズが公演中ということで、このBreak a legの由来について英語版Wikipediaで調べたところ、面白い情報がたくさん見つかったのでご紹介します。

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Break a legの概要 

"Break a leg" is an idiom in theatre used to wish a performer "good luck" in an ironic way. Well-wishers typically say "Break a leg" to actors and musicians before they go on stage to perform. The origin of the phrase remains obscure. 

The expression reflects a theatrical superstition in which wishing a person "good luck" is considered bad luck. The expression is sometimes used outside the theatre as superstitions and customs travel through other professions and then into common use. 

"Break a leg"は反語的な言い回しでパフォーマーの幸運を祈るイディオムです。ステージに向かう俳優や音楽家たちに応援の意味を込めて掛ける言葉ですが、由来は曖昧だとのこと。

幸運を祈ることが悪運になるという劇場の迷信から生まれたこのフレーズは、他の職業にも使われるようになり、一般化されていったようです。

 

Break a legの由来

では、このフレーズはどのようにして生まれたのでしょうか。

Break a leg.が最初に登場する文献は、演劇の本場イギリス。Robert Wilson Lynd publishedが書いた1921年の迷信に関する記事によると、イギリスにおいて劇場は、競馬に次いで迷信を大事にする。競馬において幸運を祈ることはアンラッキーと捉えられ、「脚を折れ!」のような侮辱の言葉が使われていたとか。ただし、Lyndは演劇関係者と親しくしていたものの、この記事においては、Break a leg!を劇場関係者によるフレーズとは書いていないそうです。

1920年代にはこのフレーズが使われていたことを示す記録が他にも残っているとのことなので、100年ほど前に生まれたイディオムですね。

 

起源が不明なら、由来も不明なこのイディオム。様々な面白い説があります。

 

見切れ線(The leg line)説

ステージの端にある線。ここより先に行くとお客さんから見えますよということを示す見切れ線です。それを英語で、"leg"または"leg line"というそうです。

出番を待つパフォーマーたちはこの見切れ線のところで待機します。この見切れ線を越えてステージに立つことで、パフォーマンスをし、報酬がもらえるのです。そこで、この見切れ線(leg line)を越えてステージに上がり、良いパフォーマンスをしてお金を稼ぐことを祈ってBreak a leg!と言ったという説。

 

袖幕(stage curtain leg)説

ルネッサンス期から、舞台の袖中(舞台裏)を隠す"leg"と呼ばれる幕が使われ始めました。日本では袖幕と呼ばれ、今日の舞台にも存在しています。

ヴォードヴィルという演劇形式が流行った頃、実際に出演できる人数以上のパフォーマーがブッキングされていました。しかし当然、出演した者のみが報酬を得られます。袖幕(leg)から出て観客の前に立ち、お金を稼ぐことができることを祈ってBreak a leg!と言ったという説。

 

おじぎ説

Break a legとは、お辞儀や会釈を表す古いスラングです。片脚をもう一方の後ろにつき、膝を折って(breakして)お辞儀をするからです。劇場で良いパフォーマンスをすると、カーテンコールが繰り返され、観客の喝采を浴びながら出演者がお辞儀をしますこのカーテンコールのお辞儀ができることを祈ってbreak a leg!と言ったという説。

 

クランクアーム破壊説

幕の上げ下げの機構は、クランクアーム(leg)で制御します。上のお辞儀説に関連して、人気のあるパフォーマーはカーテンコールを何度も繰り返すので、クランクアームが壊れるほど幕を上下させなくてはならないということから、break a leg!と言ったという説。

 

観客骨折説

古代ギリシャの時代、人々は拍手ではなく足を踏み鳴らすことで賞賛を表していたそうです。また、エリザベス朝の時代には、観客は椅子の脚を地面に叩きつけることで賞賛を表したそうです。どちらも踏み鳴らし過ぎると脚を折ってしまうことからbreak a leg!と言ったという説。

 

翻訳借用説

発音が似ているという理由から、イディッシュ語で"成功と幸運"を表す"Hatsloche un Broche"が、ドイツ語で"首と脚の骨折"という意味を持つ"Hals- und Beinbruch"というフレーズに翻訳借用されたと言う説を主張する語源学者もいるようです。第一次世界大戦の時には、ドイツ空軍のパイロットがフライト前にお互いの幸運を祈るフレーズとして、"Hals- und Beinbruch" (neck and leg fracture) が使われていたという記録もあるそう。このフレーズは今、出演前の俳優や、試験前の学生の幸運を祈る際に使用されています。

 

リンカーン暗殺由来説

一番ポピュラーだけど間違ったものとして、1865年のリンカーン大統領暗殺にまつわるフレーズから来たという説があるそうです。暗殺者となった俳優のJohn Wilkes Boothが、自身の日記の中で、大統領暗殺後フォードシアターの舞台に飛び込んだ際に足を骨折したと書いたとのこと。Boothの俳優としての役はあまり知られていないが、記憶に値する演技ができることを祈って"break a leg"と俳優たちに声を掛けるようになったというストーリーです。

ただし実際は、このフレーズを俳優たちが使い始めたのは暗殺の50年後である1920年代ですし、19世紀後半以前に別の言語に明確な起源があります。また、Boothが脚の骨を折ったのは逃げようとして馬から落ちた時だとか、Boothは誇張やねつ造によって日記をドラマチックに仕立てていたと主張する歴史家もいるようです。

劇的で面白い説ですが、これは確かに無理がありそうですね。

 

ダジャレ説

"cast"という単語には、骨折した時に付けるギプスと、舞台の出演俳優の両方の意味があります。"キャストに入れますように"という意味を込めて、break a leg!と言ったという説。お洒落なダジャレのようなものですね。

 

アドレナリン説

シェークスピアの戯曲リチャード三世の公演で、18世紀の有名なイギリス人俳優David Garrickが、恍惚のあまり骨折に気付かなかったというのが由来だとする説もあります。所謂アドレナリンが出ている状態ですかね。

確かに、ケガに気付かず演技を続けていた俳優の話はいくつも聞いたことがあります。さすがに脚ではありませんが、舞台上で手の指を骨折していたことに気付かずに演技を続けていた共演者もいました。

最近も『ミッション:インポッシブル/フォールアウト』で、トム・クルーズがアクションシーンの撮影中に足を骨折したにも関わらずそのままスタントを続けていたことが話題になりましたね。(さすがに骨折には気づいていたそうですが)

www.cinemacafe.net

 

このようにたくさんの面白い説があるものの、どれも「これだ!」という決め手はないようです。

 

オーストラリア独自の挨拶

オーストラリアではbreak a legの他に面白いフレーズが使われているようです。  

出演者が観客の数をチェックし、観客が少なかった時はパフォーマンスの後にパンを食べ、満席の時にはディナーにチキンを食べたとか。オーストラリアでチキンを意味するスラングは"chooks"。そこから、会場が満席の時は出演者が"Chookas!"と叫ぶようになりました。今では実際の観客の数に関わらず、集客の成功を祈って公演前に"Chookas!"と言うようになったそうです。

 

その他の舞台芸術における挨拶

ダンサーは"Merde!"オペラ歌手は"Toi toi toi"という言葉で互いの幸運を祈るそうです。どんな種類のパフォーマンスであっても、舞台は生もの。願掛けや迷信のようなものにすがりたくなる気持ちは同じですね。

 

 

以上、直訳と意味が全く違う不思議なイディオム、break a legにまつわるお話でした。

この投稿が皆さんの英語学習の参考になれば嬉しいです。

さらに劇場に足を運んでみようというきっかけになったら、とても嬉しいです。英語学習も面白いですが、舞台芸術の世界も足を踏み入れてみると楽しいですよ。

 

今日も劇場で出番を待つパフォーマの皆さんの幸運を祈って、Break a leg!

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