【英検1級二次試験スピーキング対策】面接で高得点を取るための学習方法【留学なしでも大丈夫】

こんにちは。

語彙問題編から始まった英検1級パート別対策記事も、ついにラストとなりました。今回は英検1級の最後の砦、二次試験のスピーキング編です。

先日からお知らせしているように、私、2019年第2回の英検1級において、一発合格を果たしました。しかも一次試験は英検バンド+12、二次試験は+3と、どちらも好成績で突破することができました。

英語学習を始めて4年、コツコツ頑張った成果が出て嬉しかったです! 

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スピーキングテストで特に辛かったのは、2分間のスピーチです。英検1級というと、英語圏で生活していないと合格が難しいと思い込んでいらっしゃる方もいるようですが、そんなことはありません。わたしには留学や海外滞在の経験はありません。英語ではもちろん、日本語でもスピーチをしたことがなかったので、一次試験から二次試験の間は喉が枯れるほど練習しました

本日は、英検1級の面接試験に高得点合格するための対策法をご紹介します。

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英検1級スピーキングの試験内容

概要

英語1級の二次試験で行われるスピーキング試験は、英語での10分間の面接です。

かつては集団面接だったようですが、2019年現在の英検1級は、個人面接です。面接委員は2人で、ネイティブスピーカーと日本人の組み合わせが多いようです。その他に、タイムキーパーの方もいらっしゃいます。
試験官2人が、スピーチの内容、応答の様子、語いと文法、発音の正確さの観点でそれぞれ5段階評価をし、その合算で最終的な点数が決まります。

さらにその合計40点が、850点満点のCSEスコアに換算され、602点を超えると晴れて英検1級合格となります。

試験内容

それではさらに、試験の内容を詳しく見ていきましょう。

上記で述べたように、スピーキングの試験時間は10分で、大きく以下の3つのコーナーがあります。

自由会話:面接委員と簡単な日常会話を行う。
スピーチ:与えられた5つのトピックの中から1つ選び、スピーチを行う。(2分間)
Q&A:スピーチの内容やトピックに関連した質問に答える。

最初の自由会話は、

「今日はどうやってここに来ましたか?」

「あなたのことについて教えてください。(自己紹介)」

「お休みの日は何をしていますか?」

などの基本的な自己紹介で、アイスブレイクの時間ですね。

その後、トピックカードを渡され、1分の間に5つのトピックから1つ選んでスピーチの内容を考え、2分間のスピーチを行います

公式サイトによると、トピックのテーマは以下となっています。

主な場面・題材
社会性の高い幅広い分野の話題
過去の出題例
科学の発展は常に有益か、芸術への財政的支援増加の是非世界経済における日本の役割、選挙権の行使を義務化するべきか、遺伝子組み換え食品の安全性、公共の場における治安改善の必要性

つまり、科学、文化、経済、政治、医療など幅広い分野から出題されるんです。

この幅の広さが受験者泣かせですよね。

スピーチの後は、試験官からの質問や反論に答えるQ&Aの時間です。すべてスピーチの内容やトピックに関連する質問で、質問の数は特に決まっていません。時間になったら強制的に終了です。

スピーチで話し足りなかった部分があれば、挽回のチャンスとなりますが、厳しい反論が飛んでくることもあるので、このQ&Aの時間もなかなか手強いです。

注意事項

続いて注意事項の確認です。以下の4点に留意してください。

  1. 面接は受付順
  2. 受付時に、スマートフォンタブレット端末などの電子機器の電源をオフ
  3. 面接委員とは、すべて英語で会話
  4. 試験中のメモ・写真撮影・録音などは禁止

まず、面接は受付順に行われます。控室で長く待つと緊張してしまうという方は、指定の受付時間よりかなり早目に、控室でひと息入れたい方は受付時間ギリギリに、受付の列に並ぶといいと思います。

わたしは控室でゆっくりしたかったので、会場周辺で時間をつぶし、さらに受付近くでもすぐには並ばず、受付時間3分前くらいに列に並びました。

さらに、スマートフォンの電源は受付で切ります。タブレット端末なども、受付以降使えません。つまり、電子書籍の対策本などは控室で読むことができないんです。

紙媒体で持ち込めるよう、事前の準備が必要です。

忘れてはいけないのが、面接室の中では全て英語で会話することです。シミュレーション通りに全てがスムーズに進めば問題ないのですが、思わぬトラブルが発生することがあります。それも全て英語で乗り切らねばなりません。

わたしは部屋に入った瞬間、どこに座ったらいいのか分からず戸惑いました。ドアに近い椅子に座ろうとしたら、「そこは遠すぎるよ」とネイティブの試験官に突っ込まれ、「すみません、緊張しすぎて間違えました」と返しましたが、もちろん、こういったトラブルでのやりとりも全て英語です。審査の対象外ですが、自然にやり取りできるかどうかで、印象は変わると思います。

緊張しても、英語で積極的にコミュニケーションを取る姿勢を失わないようにしましょう。

注意点の最後として、メモ禁止があります。これは問題をメモすることだけでなく、自分のアイディアをメモすることも禁止なのでご注意ください。スピーチの組み立ては、全て頭の中で行わなくてはなりません。

練習の時からメモなしで話せるようにトレーニングしておきましょう。

録音・撮影も禁止です。後で振り返るために録音しておきたくなるかもしれませんが、絶対にしないようにしてください。それで失格になったら今までの努力が水の泡ですからね。

試験の流れ

上記の試験内容で少し触れていますが、試験の流れをまとめておきたいと思います。基本的な流れは以下になります。

  1. 係員の案内で入室
  2. 係員に「面接カード」を渡す
  3. 面接委員の指示に従い着席
  4. 氏名の確認と簡単な日常会話
  5. 面接委員から「トピックカード」を受け取る、もしくは手に取る
  6. 面接委員の指示でスピーチの考慮時間開始(1分間)
  7. 面接委員の指示で、選んだトピックを発表
  8. 面接委員の指示でスピーチ開始(2分間)
  9. 面接委員とのQ&A(4分間)
  10. 「トピックカード」を面接委員に返す、もしくはひっくり返して机に置く
  11. 面接委員の指示で退室

ただし、会場によって流れが多少異なる可能性があります。本番で焦らないよう、あらゆる状況をイメージしておきましょう。

わたしの時は、係員の方が部屋の前で身分証明書を確認して面接カードを回収し、その後案内があってから入室しました。また、トピックカードは目の前の机の上に伏せて置いてありました。

日常会話・スピーチ・Q&Aはすべて制限時間が来たらスパッと止められます。(スピーチに関しては、話しかけの1文のみ、最後まで話させてもらえるようです。)

部屋中のレイアウトは、わたしから机の2つを隔てた向かい側に面接官2人(ネイティブと日本人)、わたしの右手側に係員(タイムキーパー)の日本人の方、となっていました。

試験の難易度

日本国内の英語試験としては最難関でもある英検1級のスピーキング。近年は合格率が発表されていないので正確には分からないのですが、一説には一次試験の合格率がおよそ20%、二次試験が50%くらいで、最終的に合格率10%くらいになるとも言われています。英検には、二次試験で不合格になっても、1年間は一次試験が免除されるという制度があるため、二次試験のみ受け続けている方もいらっしゃいます。そんな中で半分くらいの受験者しか合格できないとすると、一次試験から二次試験まで一度で合格するのはなかなかハードルが高いですよね。

では、実際のところ難易度はどのくらいなのでしょうか。

わたしの体験を交えて分析してみたいと思います。

求められるレベル

公式サイトによると、英検1級に求められるレベルは以下の通りです。

1級 : 大学上級程度

広く社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。

話す: 社会性の高い幅広い話題についてやりとりすることができる。

二次試験では2分間のスピーチと、その内容への質問がなされます。カギは英語の知識のみでなく、相手に伝える発信力と対応力。世界で活躍できる人材の英語力を証明します。

"社会性の高い広い話題に対する発信力と対応力"を評価するために、スピーチとQ&Aによる試験になっているんですね。

この社会性の高さと広さに、かなり苦戦させられました…。

ちなみに、ブリティッシュカウンシルによると、英検1級が該当するとされているCEFR(Common European Framework of Reference for Languages)のC1レベルは、

いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の詳細な文章を作ることができる。

となっています。

こちらを見るとかなりハードルが高そうですが、こんなに高度な英語力でなくても受かります

わたし自身、英検1級を経てもまだ言葉に詰まることが多々ありますし、自分が本当に伝えたいことを100%言葉にできることはありません。

トピック出題例

続いて、スピーチのトピックのレベルです。公式サイトでは二次試験の過去問は公開されていませんが、例として以下の5つが掲載されています。

  1. What role should the United Nations play in international politics?
  2. Do the rich have a responsibility to help the poor in society?
  3. Is tradition always worth preserving?
  4. Should students be asked to evaluate their teachers?
  5. Agree or disagree: The Olympics have become too commercialized

いかがでしょう?日本語でも質問されたら「ちょっと考えさせて…」と言いたくなるトピックばかりですよね。5つの中から、自分の得意分野のものを選べるとはいえ、1分間でスピーチをまとめるのは至難の技です。そもそもトピックを読んで一つ選ぶのに、15秒くらいかかってしまうと思います。特に本番は慎重になってしまうので、トピックを絞り込むのに時間がかかります。

わたしは緊張しすぎて初見でトピックが頭に入らず、2度読みました…。

残りの45秒程度でスピーチの構成を考えますが、2分間のスピーチを半分以下の時間で完璧に組み立てるなんてそもそも不可能です。つまり、要点だけ考えたら、あとは即興スピーチになると言うことです。

トピックの形式としては、Yes/NoまたはAgree/Disagreeで答えるものと、Whatに答えるものがありますね。Yes/No(Agree/Disagree)は、ライティングと同じ出題形式なので、比較的答えやすいと思います。Whatに答えるトピックは、スピーチの構成がライティングと若干異なります。特にイントロやコンクルージョンの部分にアレンジが必要ですね。

評価基準

続いて、英検1級のスピーキングの評価基準をまとめておきます。

スピーキングのスコアは以下の4つの評価項目で決まります。それぞれ10点(面接委員一人当たり5点)で、合計40点満点です。

Short speech 

与えられたトピックの中から一つを選び、論点とその根拠をまとめ、首尾一貫したスピーチを組み立てることが求められます。

Interaction 

面接委員とのやりとりの中で、それぞれの質問に対して臨機応変に応答し、会話を継続することが求められます。

Grammar and vocabulary 

面接を通して、幅広い範囲の語彙・文法を正確かつ適切に運用することが求められます。

Pronunciation 

面接を通して、発音・アクセント・イントネーションを正しく運用することが求められます。

準1級の、

  • ナレーション:15点
  • Q&A:20点
  • アティチュード:3点

という配点に比べ、1級では英語を正しく使えることを求められていることが分かりますね。

もちろん、そもそも英検1級=ネイティブレベルではありませんから、ネイティブスピーカーのように流暢に英語を操れることを求められている訳ではありません

しかし、"世界で活躍できる人材の英語力"という英検協会の狙い通り、非ネイティブなりのしっかりとした英語力を求められているんだと思います。

Twitterからは、以下の有力な情報をいただきました。参考にどうぞ。

わたしの試験結果と内容

このコーナーの最後に、わたしの試験結果を公表したいと思います。

  • Short speech : 8/10
  • Interaction : 10/10
  • Grammar and vocabulary : 8/10
  • Pronunciation : 9/10

という結果でした。合計35/40で、得点率88%です。

CSEスコアでは671。合格基準は602なので、英検バンドはG1+3でした。SNSなどの情報では、わたしが受けた2019年第2回のB日程では、素点25がボーダーラインだったようです。(素点のボーダーラインは受験回&日程によって異なります)つまり各評価基準で2-3点の余裕があったことになります。

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2年前に受けた準1級がGP1+4だったので、今回もできれば+4を取りたかったのですが、素点であと1点足りなかったようです…悔しい!

一次試験通過後に初めてshort speechの練習をした時は、理由を一つつっかえつっかえ話すので精一杯だったので、1ヶ月で合格を掴み取るまではかなりハードな日々でした。

毎晩スピーチをし続け、喉が枯れましたし、録音した自分のスピーチを聞いて悔し涙を流したこともありました。

結果としてInteraction満点は素直に嬉しいですし、初めて客観的な評価を受けたPronunciationも、9/10という結果だったのでホッとしました。Short speechに関してはかなり自信がなかったので8/10でまぁ満足。Grammar and vocabularyは、ライティングでも似たような評価だったので、これが実力なんだと思います。今後の課題ですね。

試験後の生々しい感想はこちらのつぶやきをご覧ください。

ここらはちょっと愚痴を…。スピーキングは、他の3技能に比べ、高得点ラインでのCSEスコアの格差が大きく一次試験のスコアと並べるとかなり見劣りする結果になるんですよ。

39/40でも800点台に達しないこともあるのだとか。

その結果、素点の得点率はリーディング>リスニング>スピーキング>>ライティングなのに、CSEではリーディング>リスニング>ライティング>>>スピーキングになります。

元々スピーキングテストの合格基準が、スピーキングの苦手な日本人に合わせて甘めということかもしれないですが、合格の喜びが薄まってしまいました…。

対策に使用した教材

それでは、わたしが英検1級二次試験を高得点で一発合格するまでに使用した教材をご紹介します。

前提として、

  • 2年前に受験した英検準1級でCSE604(1級の合格基準を僅かに上回る)
  • 週1回60分の英会話レッスン(4,5人程度のグループレッスン)継続

という状態で迎えた英検受験でした。

英検1級 面接大特訓

まずは英検1級スピーキングの定番対策本。一次試験が終わった翌日に、Kindle版を買いました。面接の控室には紙の本しか持ち込めないので、電子書籍は避けたかったのですが、一次試験終了後から数日と、結果発表から数日は入手困難になることが多く、私の時も在庫切れだったので電子書籍版にしました。結果的に会社の昼休みなどにスマホでも読めるので重宝しました。

こちらの本、噂通り英検1級の二次試験を受けるならマストバイの一冊だと思います。頻出トピックを中心に、説得力のあるスピーチの組み立て方からQ&Aの捌き方まで、詳しく解説されています。さらに頭に入れておくべき背景知識や用語も豊富。対策本として理想的な1冊だと思います。

私は一次試験の時に手に入れておくべきだったと後悔しました。というのも、面接対策本でありながらエッセイに関する対策も載っているんです。ジャパンタイムズの英作文対策本も十分良いのですが、どうせ二次試験で使うなら先に買っておけば良かったなと。

こちらの方が若干語彙レベルが高いので、併用していたらエッセイの表現力が広がったと思います。

試験までの5週間、第2章の短文練習(使えるフレーズ集)を毎日音声に合わせて音読し、口に慣らしておきました。第3章の実践練習は1日1ユニット毎に熟読すること2周。その後例文を3ユニット毎に音読していました。お陰で必要なエッセンスは頭に叩き込むことができました。

英検1級 面接大特訓

英検1級 面接大特訓

 

最短合格!英検1級 英作文問題完全制覇

こちらは一次試験のライティング対策で使っていた本です。英検1級のスピーチはライティングと同じ形式でOKなので、そのまま二次対策に使えます

こちらはまず、30のモデルエッセイを、上の面接大特訓のユニッとに合わせてカテゴリー分けしました。カテゴリー分けを合わせることで、解答のバリエーションを効率よく吸収することが目的です。さらに試験前の2週間、1日3ユニット毎(10トピック)に自分でスピーチをして録音。例文を音声に合わせて音読していました。結果的に30のトピックを4回スピーチ練習したことになりますね。

この本は全てのトピックAgree/Disagree両方の意見が載っているので、自分の主張をサポートするネタを仕入れやすいのがメリットです。試験の時は自分の本心と異なることを語っても問題ないのですが、スピーチの後のQ&Aを考えると、自分の意見合った主張を展開した方が、意地悪な質問にも対応しやすいと思います。

その点で、この英作文問題完全制覇は二次試験対策にもおすすめです。

(MP3音声無料DLつき)最短合格!  英検1級 英作文問題完全制覇

(MP3音声無料DLつき)最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇

 

英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現

『面接大特訓』を読んだときに思い知らされたのは、自分には社会問題に対する知識が欠けているということです。個人的な経験で主張するというのも悪くはないんですが、面接委員からの反論をある程度予想し、説得力のある主張を展開するには、背景知識はあるに越したことはありません。しかし、試験までのひと月ちょっと英字新聞などを読んだところで、英検のトピックの幅の広さはカバーできません

そこで、同じ著者のこちらを追加購入しました。様々な社会問題に対し、賛否両方の主張がまとめられています。この本のお陰で英語で社会問題をディスカッションするための知識がぐっと増えました

こちらは最初に一通り熟読。その後は、これまた『面接大特訓』に合わせてカテゴリー分けし、例文を音声に合わせて音読しました。

カテゴリー分けはこちらのつぶやきを参照ください。(英作文問題完全制覇のトピック対応も掲載しています)

こちらも一次試験終了後品薄になりますので、早目に購入してください。特にライティングから高得点を狙っている方は、一次試験前に入手されることをおすすめします。

英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現(CD BOOK)

英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現(CD BOOK)

 

速読速聴・英単語 Opinion

最後に当ブログで定番の一冊を。速読速聴英単語シリーズのOpinion です。わたしは下のリンクよりひとつ古いバージョンを使っていました。 

www.inspire-english.net 

わたしが発行年の古いものを使っていることもあって、トピックの古さは否めませんでしたが、自分の意見を主張するための表現は学べます。

こちらは一次試験の前に一通り音読しており、二次試験の前は自分の意見と同じ側の主張のみ一通り黙読しました。

最新版には、自分の意見を述べる際に使えるキーフレーズ等がまとまっているので、英検対策としても非常に使いやすいと思います。

速読速聴・英単語 Opinion1100 ver.2 (速読速聴・英単語シリーズ)

速読速聴・英単語 Opinion1100 ver.2 (速読速聴・英単語シリーズ)

 

対策法

一次試験受験前

(可能な場合は)受験日程を選ぶ

英検1級の二次試験には、A日程とB日程の2種類があり、試験日が違います。土曜か日曜なんて差ではなく、1週間違うんです!A日程は一次試験から4週間後、B日程は5週間後になります。

試験前の1週間って、大きな差ですよね…。

しかも、A日程とB日程では同じ素点でもCSEスコアが異なり、大抵B日程の方がCSEスコアが高めに出るようです。つまり、同じ素点でもA日程とB日程で合否が分かれる可能性があるということです。なぜこういったことが起きているのかは分かりませんが、「A日程は20歳以下の受験者が主なため、トピックのテーマが易しめ」という説があるようです。

しかし、真偽は不明です…。

とにかく、21歳以上の方であれば、受験地によって試験日が変わるということになります。B日程の試験会場は東京、横浜、名古屋、大阪のみで、希望の試験会場は一次試験のマークシート用紙で選択します。

スケジュールやお住まいの地域を考慮した上で、どこで二次試験を受けるのかを、一次試験前に考えておいてください。二次試験まで少しでも長く対策期間が欲しい方はB日程で、早くプレッシャーから解放されたい方はA日程で受けられるようにスケジュールを組むようにしましょう。

試験日前日も予定を空けておく

そもそも英検1級の二次試験会場は、その他の級に比べて非常に少ないです。札幌・仙台・横浜・東京・新潟・名古屋・京都・大阪・広島・福岡・那覇の11都市しかありません。泊まりがけで受験される方もいらっしゃるくらいなので、大都市以外に住まわれている方は、二次試験予定日は土・日共に空けておくようにしておいた方がいいと思います。

わたしは中途半端に名古屋に近いところ(電車で1時間半くらい)に住んでいるので、B日程で朝9:15分集合となりました。電車の本数も少ないので、余裕を持って出発するために6時に家を出る羽目に。

万が一土曜の夜に予定が入っていたら、体力的にキツかったと思います…。

一次試験合格発表まで

一次試験が終わると、翌日に解答が公表されるため、自己採点をすることができます。しかし、ライティングは自己評価になるので結果発表まで合否は分かりません。2019年現在の英検は、その配点システムから、"ライティング一発逆転合格"が発生することがあります。自己採点の結果に関わらず、二次試験の対策はすぐに始めてくださいすぐにです!!!!!!

なぜこんなに!を付けて強調したかといえば、私自身、結果発表まで気持ちがダレてしまい、後で激しく後悔したからです。リーディングとリスニングの結果的に、まず合格間違いなしという立場にいたにも関わらず、一次試験の結果発表までは、気持ちがふわふわしていて、イマイチ勉強に身が入りませんでした。

二次試験はひと月スピーキングのみに集中できるとは言え、無駄にしていい日は1日もありません一次試験の合格発表までの2週間の過ごし方が、高得点を取れるかどうかの分かれ目と言っても過言ではありません。

一次試験当日の夜はとりあえずゆっくり休んで、すぐに頭を切り替えてください。

背景知識を詰め込む

この時期に1番大切なのは、背景知識とそれにまつわる英単語を頭に叩き込むことです。

ライティングでそれなりに対策されているかと思いますが、スピーキングテストの場合、ゆっくり思い出している時間はありません。すぐに頭から引っ張り出して使える状態にしておかねばならないのです。

また、面接委員の方々からどんな反論が飛び出してくるか分かりません。ライティングなら、自分の苦手な話題を避けて書くこともできますが、スピーキングはそうもいかない可能性があります。

その為にわたしは、上でご紹介した『面接大特訓』と『英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現』をしっかり読み、背景知識を頭に入れていきました。

元々社会問題に強い方は、それを英語で表現する準備をしておきましょう。日頃から英字新聞や英語ニュースにたくさん触れている方は、その復習でもいいかもしれません。

とにかく、説得力のあるスピーチとディスカッションをするための基礎は、この時期に固めておきましょう。

定番フレーズを口に慣らす

背景知識を頭に入れると同時に準備してもらいたいのは、スピーチやQ&Aで使える定番フレーズを口に慣らすことです。わたしは、上でご紹介した面接大特訓の短文練習のパートをCDに合わせて毎日1周音読しました。これは試験当日まで続けたので、30回以上繰り返したことになります。最初の3週間はテキストを見ながら、残りの2週間はシャドーイングで繰り返し練習していました。

目的は、丸暗記することではなく、使える表現を増やすことにあります。

ここで覚えたフレーズは、スピーチの練習をする際に積極的に使ってみるようにしてくださいね。

ノートにネタをまとめる

先に挙げた英検二次試験の注意事項でも書きましたが、受付を通ったら、スマートフォンやタブレット端末などは使用できません。電子書籍リーダーも同様に扱われるはずです。そのため、控室で確認ができるのは紙の書籍やノートのみです。

もし、電子書籍で参考書を入手された場合は、スピーキングで使えそうなフレーズや、社会問題に纏わる英単語・熟語などを、事前にノートに書きだしておきましょう。紙の書籍を持っている場合も、試験当日に何冊も確認するのは大変ですし、「あれどこに書いてあるんだっけ?」となりがちなので、自分なりのネタ帳にまとめておいた方が、使いやすいと思います。

わたしは、『面接大特訓』『英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現』『英作文問題完全制覇』の3冊と、英検1級二次試験対策を紹介されているサイトなどから、

  • 接続詞一覧
  • イントロ・ボディ・結論で使えるフレーズ
  • 用語集(政治、経済、教育、医療、科学、環境、文化・スポーツ・レジャー、家族・高齢化、メディア)

をメモしていきました。

ノートまとめをすることが目的ではなく、ただのネタ帳なので、綺麗に書くのは時間の無駄と考え、適当に書き連ねていきました。手書きよりキーボード入力の方が得意な方は、パソコンで作成してプリントアウトしても良いと思います。

「当日にジタバタしても仕方がないので控室では何もせず待つ」というという方もいらっしゃると思いますが、個人的には、高得点を狙うなら、最後までやれることはなんでもやった方が良いと思います。

フラッシュカードを作る

上記のネタ帳の中には、

  1. 既知のもの
  2. 知っているけど咄嗟に出てこないもの
  3. 覚えていないもの

が入り乱れています。

簡単な単語だけを使っても合格は狙えますが、高得点合格を目指すのであれば、ある程度高い語彙を使えるようになることも必要です。

2と3の「知っているけど咄嗟に出てこないもの」「覚えていないもの」の中で、自分が当日選びそうなトピックのジャンルに関するものは、フラッシュカードアプリを使って暗記しました。

結果的に、試験本番のQ&Aで男尊女卑について話す際に、male-dominated societyをmale chauvinismと言い換えるなど、繰り返し表現を避けて話をすることができました。

一次試験結果発表後

一次試験の結果が発表され、無事合格していたら、本格的にスピーチの練習を始めましょう。A日程の方はここから約2週間、B日程の場合は約3週間あります。結果発表までの2週間で詰め込んだ知識を、使える英語に仕上げていきましょう

スピーチの型を作る

まずは、スピーチの型を作りましょう。ライティングと同じでも構いません。トピックを選んで構成を考える1分間はあっという間です。そこで細かく構成を考えてフレーズを選ぶなんて余裕はありませんし、スピーチしている最中も、自分が根拠として挙げようとしているポイント2つまたは3つを忘れないようにしながら話すことで精一杯だと思います。

イントロの入りや、結論のまとめ方など、ある程度の型を決めてしまえば、心に余裕が持てますし、その分説得力のあるスピーチになるような具体例を考えることに時間を使えます

わたしは、

Intro

It is a highly controversial issue whether or not .... Personally, I believe that ... for the following two reasons.

Body

Firstly, ....

Secondly, ....

Conclusion 

In conclusion, for the reasons I mentioned above, I strongly believe that ..., and I hope more and more people will be on the same page to work towards a better future.

という形にしました。

根拠を3つ挙げようとすると、スピーチのテンポを上げなくてはならないこと、話しているうちに3つ目を忘れてしまいそうなことから、ボディは2つにすることにしました。

メモができない英検のスピーチでは、思い付いたアイデアを話している間に忘れないようにしなければなりません。型に慣れてしまえば、Introの間にも具体例を頭に浮かべておく余裕ができるので、うっかり忘れてしまうことを防止できます。

また、スピーチの後にはQ&Aもあるので、苦手分野で話をすると、かなり苦しくなります。5つのトピックの中から自分の得意分野に関するものを選ぶだけでなく、ボディの部分も、自分の得意分野で具体例を挙げるように意識しました。

わたしの場合は、

  • 教育的
  • 文化的
  • 健康的
  • 経済的
  • 社会的

のいずれかの効果のうち2つで根拠を考えるようにしていました。

さらに、1分間を有効に使うために思考パターンを整理しました。私の頭の中をイラストも使って表現するとこんな感じです。

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試験本番になると緊張してしまって、頭の中がとっ散らかってしまうことがあります。そうなってしまうと、1分はあっという間に過ぎてしまいます。根拠がすぐに出てこなくても焦らずに済むように、どんな視点でトピックを見つめたらいいのか具体的にイメージしておくと良いと思います。

また、『英語でロジカル・シンキング』という本を読むと、この1分間を有効活用して論理立ったスピーチを組み立てる方法を学ぶことができるのでお薦めです。 

www.inspire-english.net  

英語でロジカル・シンキング

英語でロジカル・シンキング

 
スピーチの練習を繰り返す

さて、型を決めたら、実際にスピーチを練習しましょう。

スピーチをする時は必ず2分時間を測ってください。試験本番では時計を見ながらスピーチをすることは、実質不可能です。2分の時間感覚は身体で覚えるしかありません

特訓の甲斐あって、試験当日は2分ピッタリでスピーチを終えることができました!

最初のうちは、スピーチの構成を考える時間を1分に限定せず、数分使っても良いと思います。わたしは最初は2,3分使って練習し、試験前の最後の1週間は1分で考えるように訓練しました。

また、試験本番は5つのトピックから1つを選ぶことになりますが、練習では選択する時間は作りませんでした。1分間の時間管理が不安な方はそれも練習しておきましょう。わたしは、『英作文問題完全制覇』の30のトピックを、最初は1日5トピックずつ、最後の2週間は10個ずつ全て練習していました。つまり、全トピック5回ずつは練習したことになりますね。

全く同じトピックが出ることはほとんどないと思いますが、似たようなものに当たる可能性はありますので、練習したスピーチのエッセンスは試験本番でも役立ちます。

さらに、通勤中など声を出せない環境では、前日にうまくいかなかったトピックなどを脳内でスピーチしていました。隙あらば英語で話す訓練。隙間時間の積み重ねが、最終的に大きな時間を生み出します

また、録音して後で自分で聞くようにすることも大切です。自分の英語を客観的に聞くのはかなり苦痛だと思いますが、思っていた以上に話せていないことに気が付くことができるはずです。

毎日寝る前に練習していたので、よくうなされていましたし、試験近くになると喉が枯れるほどの苦しい日々でしたが、そのお陰で、本番当日は落ち着いてスピーチをすることができました。

書き出してみる

スピーチの練習をしていると、どうしてもいい加減になりがちなのが復習です。ライティングなら文字で残るため、しっかり復習できますが、自分のスピーチを聞くのは本当にしんどいですし、現実から目を背けてしまいがちです。

わたしは初めて自分のスピーチの録音を聞いた時、悔しくて泣きました…。

そこを逃げずに頑張らないと高得点は目指せないと思いますが、それを続けるのも精神的にキツいです。

そこで、あえてスピーチをせずに、スピーチのポイントを紙に書き出す日をつくりました。トピックは『面接大特訓』のものを使用し、それぞれのトピックに対して、ボディの部分のポイントを書き出しました。

確認する際は、

  • 似た視点の2つを根拠に上げていないか
  • 説得力のある理由が述べられているか

をポイントに見直し、対策本の解説も改めて読み直しました。

ネイティブなどに聞いてもらう

二次試験で1番勉強になったのは、スピーチをネイティブスピーカーに聞いてもらったことです。そもそも、英検1級の二次試験のハードルが高い理由に、

  1. 日本語でもスピーチをしたことがない(スピーチがどんなものなのかすら分からない)
  2. 英語らしいスピーチが分からない

の2点があります。

1に関しては、対策本から学べるんですが、2に関しては、自分ではできているつもりでも、実は足りていないことがあります

特に日本はハイコンテクスト文化です。わたしたちは、多くを語らずとも通じ合える社会でコミュニケーションをして育っているのです。会話の際には、聞き手にも行間や空気を読むことが求められます。

しかし、様々な文化的背景を持つ人が集まっている英語圏では、自分の言いたい事は細かく説明しなくてはなりません。相手に話が通じなければ、それは話者の責任です。さらに、自分の意見を主張することに慣れていない我々は、無意識に曖昧な表現を選びがちなんです。

つまり、「充分語ったつもり」になっていても、実はネイティブスピーカーには「…で結局何が言いたいの?」となることがしばしば起こるんです。

これに関しては、日本人の英語講師に指導してもらうよりも、ネイティブスピーカーにチェックしてもらったほうが断然良いと思います。最初は感覚的に分からなくても、何度も指摘してもらっているうちに、言葉が足りないことに自分でも気が付けるようになってきます

わたしは、一緒にオンライン英会話スクールを運営しているInspire EnglishのTakaに、練習に付き合ってもらいました。彼に指導してもらわなかったら、スピーチの得点はもっと低かったと思います。最初に聞かせた時は、2分間のうち1分は、「あー、えー、うー…」と言っているだけでしたしね。どんなトピックであっても、そこそこちゃんとした形で喋れるようになったのは、スピーチ指導のおかげだと思います。 

school.inspire-english.net

英検集中対策コースもありますので、興味のある方はご連絡ください。私がご自身での対策法についてアドバイスさせていただきます!

TakaがTwitterで発信している英検1級二次試験対策動画も参考にどうぞ。

twitter.com

試験当日

さて、しっかり対策したら、いよいよ試験本番です。当たり前のことですが、当日は時間に余裕を持って行動しましょう。心の動揺は、スピーキングの質を左右します

背景知識や使えるフレーズを復習

とにかく当日は、ノートなどにまとめた背景知識やフレーズなどを復習してください。Q&Aもありますので、音声データなども使って、英語への耳慣らしもお忘れなく。

試験で緊張すると、覚えているはずの英単語も出てこなくなるものです。また、試験直前の緊張感の中で覚えたものは、案外試験中にも記憶にしっかりと残っているものです。「今さら足掻いても…」と諦めないでください。

「最後までやれる事は全部やりきる。」その努力が最後に実を結びます。

喉の調子を万全に整える

毎日スピーチやディスカッションの練習をしていると喉が枯れてしまいますよね。かといって、やっぱりスピーチは無言では練習しづらいです。

わたしは練習前にマヌカハニーをティースプーン一杯舐めていましたが、それでも試験当日は声枯れが不安な状態になってしまいました。

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そんな時の裏技をご紹介します。

以前Twitterでも呟いた技です。

歯には良くないので、頻繁に使える技ではありませんが、ここぞという時には使えます。お試しください。

また、俳優仲間の中には、

  • オリーブオイルを飲む
  • 液体のプロポリスを喉に垂らす

などをしている人もいました。

以前一緒にお仕事した声楽の先生は、手作りのおでんのつゆは適度な油分があって良い(市販のものは塩分が強いので逆効果)とも仰っていました。

色んな方法がありますが、とにかく喉は大切に!喉を痛めて試験で失敗してしまったら、本末転倒ですからね。

とにかくリラックス

最後に、これです。とにかくリラックスしてください。リラックスするためなら何でもする勢いで。

いつもと同じ朝ごはんを食べ、慣れた服装、慣れた靴、慣れた鞄で会場に向かい、会場近くのカフェでコーヒーでも飲みながらホッとひと息。お守りのようなものがあるなら持参(わたしの場合は、いつも試験の時に使っている時計でした)。控室では持参した教材やノートを眺めながら、1ヶ月の死闘を思い出す。

試験会場に入ってからも、面接委員やタイムキーパーの方のお顔を落ち着いて見てみましょう。そうすると気がつくはずです。彼らも緊張しているのだと!数ヶ月から数年、ひょっとしたら何十年掛けた努力の結果を、たった10分で評価せねばならないのです。あちらの方がプレッシャーが大きいかもしれません。

特にQ&Aは自分のペースに持ち込めればしめたもの。審査する側・される側といった空気ではなく、楽しくディスカッションしているような感覚になるはずです。そうなれば、高得点合格が見えてきます。

萎縮して言いたいことが言えなくなるよりも、言えることは言って失敗した方が後悔も少ないですし、Interactionの点数は高くなると思います。リラックスして全力を出し切りましょう!

わたしは、会場に入ってまず座る椅子を間違え、選んだトピックを言わずにスピーチを始めようとし、Q&Aの最初の質問は意図が理解できずに聞き直しました。それでもInteractionは満点です。そんなもんなんです。

多少の失敗は採点には影響しませんのでご安心を。

まとめ

大変長くなってしまいましたが、英検1級の最後の壁、スピーキング試験を高得点で乗り切るための学習法のご紹介でした。

英検1級となると、帰国子女や海外留学・滞在の経験がないと難しいと思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そんなことは決してありません。海外経験なし、アラフォーになってからの英語学習でも9割近い得点率をたっせいすることができました。

試験の形式上、トピックや面接委員との相性はどうしてもあると思いますが、英検は努力が成績に反映されやすいテストでもあると思います。

英検1級を目指して勉強中の皆さん、自分を信じて頑張ってください!!

質問などがあれば、お気軽にコメントくださいね。

一次試験対策編はこちらをご覧ください。 

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わたしが学習アドバイスを担当しているInspire Englishのサイトで、スピーキングが苦手な方に向けた英検1級二次徹底対策法を公開しています。不合格を経験した後に、素点39点(40点満点)という素晴らしい成績で二次試験合格を掴み取ったスタッフの体験を元に書かれた記事です。座学中心で英語学習を進めてきた方、二次試験突破に苦戦されている方はぜひ読んでみてください!

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Today's proverb

Failure teaches success. :失敗は成功のもと

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