こんにちは。
日本で問題となっている、週刊SPA!の特集記事「ヤレる女子大生ランキング」。呆れるほど女性蔑視で下品な記事ですが、一方で、今に始まったことではないという気持ちになってしまうことが哀しいです。
日本はジェンダー問題に関して、認識が遅れていますよね。悪意のある性差別はもってのほかですが、無自覚な差別も根深い問題だと感じます。
これまでに、英会話のレッスンや外国人の方たちと話している時に、日本人の無意識な差別発言に場が凍ったところに、何度か遭遇したことがあります。この社会に自分が慣れ過ぎてしまっていることに気付かされることもしばしば。逆に私も、無自覚のまま男性に対する差別発言をしている可能性があり、気を付けなければと思っています。
今回は自戒も込めて、SPA!のこの一連の問題を海外のメディアがどう報じているのかについて調べてみました。
海外大手メディアはどう報じているのか
沢山の海外メディアがこの問題を報じていますが、その中から大手メディアによるものをいくつか挙げておきます。(わたしの手による翻訳なので、細かいニュアンスの違いはご容赦ください。)
各社とも、今回の一連の騒動を伝えるとともに、過去の具体的な事例を上げながら、今回の問題の背景には日本の根強い性差別や女性蔑視があると述べています。
BBC
恐らくこの問題を最初に取り上げた大手海外メディアは、イギリスのBBCではないでしょうか。
日本は世界男女格差ランキングにおいて下位にランク付けされており、#MeTooムーブメントにおいても動きが鈍い。
昨年、少なくとも9つの医大で女子生徒を排除するような入試の操作が行われていたことが、政府の調査で判明した。
これは、多くの女性がいずれ医師として働かなくなるという懸念によるものとされている。
BBCは過去に、伊藤詩織さんのドキュメンタリーも放送しており、日本の性差別、性暴力の実態がイギリスの人々に衝撃を与えています。
TIME
アメリカのTIMEは、以下のように述べています。
日本において性差別は根深く、#MeTooムーブメントに対する反応も鈍い。世界経済フォーラムによる世界男女格差ランキングでは149カ国中110位にとどまり、昨年は、政府の調査により、複数の医大において、女子生徒の入学を制限する為に、入試の点数が不正操作されていたことが発覚した。
INDEPENDENT
イギリスのINDEPENDENTは以下のように報じています。
セクハラや性暴力に対する世界的な#MeTooムーブメントに続いて、日本が性差別の問題に対して遅れをとっていることが社会の注目を浴びている。
この西アジアの国の女性の政治やビジネスへの進出は、G7の中で最下位である。
日本のいくつかの医大は、女性の受験者が不利になるように、入試の点数を意図的に操作していたと認めている。
CNN
最後はアメリカのCNNです。
このスキャンダルは、女性に対する性的虐待に対する話題が国際的に大きくなっている最中に起きた。日本は伝統的に男性優位の社会が残っているが、#MeTooなどのムーブメントにより、男女平等や性的虐待への注目が集まっている。
2018年8月には、日本のある医大が女性を入学させないように、入試を不正操作したことが報じられました。また、2017年には日本人ジャーナリストの伊藤詩織さんが、レイプをめぐる日本のタブーを破り、自身の経験を公表しました。
日本はWEF(世界経済フォーラム)による最新の男女格差ランキングにおいて、149ヶ国中110位となっています。
また、安倍晋三首相が、ウーマノミクスと呼ばれる女性活躍推進政策を掲げているにも関わらず、男女平等において日本は、G7のうちの最下位となっています。
世界男女格差レポートによる日本の男女平等度
上記記事の中で取り上げられている『世界男女格差レポート』は、以下に公開されています。
http://www3.weforum.org/docs/WEF_GGGR_2018.pdf
世界男女格差レポート(The Global Gender Gap Report)とは、「経済」「教育」「保健」「政治」の4つの分野について、14の小項目の男女平等指数を元に計算し、総合的なジェンダーギャップをランク付けしているものです。
調査対象149ヶ国のうち、日本は経済117位、教育65位、保健41位、政治125位、総合で110位となっています。115ヶ国中80位だった2006年に比べ、相対的に順位を落としていますね。
2017年に比べ、経済分野全体や女性官僚の比率にごくわずかな進歩が見られたものの、世界全体で見ると大きく遅れをとっています。教育分野においては、高等教育の平等度以外は満点で、いずれすべて満点になる見通しと言われていますが、先の記事で各社が指摘している通り、医科大学の入試不正操作問題が発覚していますし、このような不当な差別が氷山の一角である可能性は高いと思います。満点になるまではまだ先が長そうです。また、かつて一位だった保健分野は、もはや日本の独擅場ではありません。
経済的には先進国ですが、残念ながら男女平等においては後進国ですね。
今回の一連の騒動において、週刊SPA!への抗議署名運動を立ち上げた山本和奈さんは、英語でコメント動画を作成しています。また、日本語、英語、スペイン語、ノルウェー語の4ヶ国語で抗議文を掲載しており、日本国内だけでなく、海外に向けてもこの現状を発信していこうという強い意志が感じられます。海外メディアの反応が大きいのにも、多言語で発信したことが貢献しているのではないでしょうか。
日本語はマイナーな言語です。SNSで世の中が動く時代になったとはいえ、日本語だけで発信していては拡散力に欠けます。彼女のように、日本だけでなく世界を動かそうとする若者がいるというのは、とても頼もしいですね。
男女差別だけでなく、日本の常識が世界の非常識となる話題や事柄がたくさんあります。井の中の蛙とならないよう、アンテナを高くしておきたいと思います。
Today's proverb
Home-keeping youth have ever homely wits.:井の中の蛙