性差別や性の多様性に配慮した英語の言い換え表現【その英語、誰かを傷つけているかも⁉】

こんにちは。

先日、アメリカのカリフォルニア州バークレー市議会で、『公的文書や議会で使用されている用語を、性による区別のない表現に置き換える』という条例が可決されたというニュースが報じられました。ニュースによると、マンホール(manhole)、マンパワー(manpower)など、性別を特定するような40の英単語が、別の言葉に置き換えられるそうです。

性差別の問題や、女性の社会進出に加えて、近年話題となっている性の多様性

日本でも看護師やフライトアテンダントなど、職業などでは性別を問わない表現に改められて来ていますが、英語圏は日本よりもジェンダーに関する問題に敏感です。知らずに使っている単語が失礼な言葉だったり、誰かを傷つけてしまうかもしれません。

そこで今日は、ジェンダーに配慮した英語の言い換え表現をまとめたいと思います。

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Gendered languageとは?

今回問題となっているgendered languageは、性別を特定したり、偏見を持って他方を見下したり、賛美したりするような表現です。gendered words, gendered termsとも言われます。

褒めているならOKということはなく、他方をステレオタイプ的に特別視すること自体が問題なんですね。

さらに、生物学的な性のみならず、さまざまな性自認があるということが知られるとともに、男・女という考え方そのものにも、疑問が投げかけらるようになりました。

そんな流れの中で生まれたのが、gendered languageに代わる、gender-neutral languageです。gender-inclusive languageとも呼ばれます。前者は中立的な言葉、後者はすべての性を含む言葉という意味ですね。

これまで、少しずつ置き換えられてきたgendered languageですが、それを一気に加速させるような条例が誕生することになりました。それが、冒頭にもご紹介した、アメリカのカリフォルニア州バークレー市のニュースです。

www.dailymail.co.uk

マンホールを含む40のgendered languageの使用をやめ、alternatives(代替案)に置き換えるとのこと。

公的文書の修正などに、納税者一人当たり600ドルの資金が必要という試算もあるようです。

レストランでの喫煙禁止をいち早く決めるなど、革新的な地域と知られるカリフォルニアですが、今回は完全なる先駆けというわけではなく、オレゴン州の一部やマイアミなどで、既に同様の施策が実施されています。

今回のカルフォルニアをきっかけに、これからもっと広がっていきそうですね。

主なgendered languageの言い換え表現

それでは、主なgender-neutral languageをご紹介します。

bondsman(保証人)

bonds-person

brothers / sisters (兄弟/姉妹)

siblings

fireman / forewoman (消防士)

firefighter 

founding father(創始者)

founder

freshman(新入生)

first-year

front man(フロントマン)

representative

gateman(門番)

gate keeper

housewife(主婦)

homemaker

king-size(キングサイズ)

very large

maid(女中)

house cleaner

mailman, postman(郵便配達人)

mail/letter carrier

male nurse(看護士)

nurse 

man(人間)

human being

person

man among men(男の中の男)

outstanding person

manhole(マンホール)

utility hole

maintenance hole

manhood(成人)

adulthood

mankind(人類)

humankind

manpower(労働力)

human effort

workforce

master(親方)

leader

teacher

boss

chief

master plan(基本企画)

comprehensive plan

grand scheme

mother country(母国)

homeland

Mother Nature(母なる自然)

nature

mother tongue(母国語)

native language

policeman(警察官)

police officer

pregnant woman(妊婦)

pregnant employee 

salesman / saleswoman / saleslady(セールスマン/セールスウーマン)

salesperson

spokesman(スポークスマン)

spokesperson

sportsman(スポーツマン)

athlete

stewardess / steward(スチュワーデス)

flight attendant

waiter / waitress(ウェイター/ウェイトレス)

server

weatherman(気象予報士)

weather reporter

workman(労働者、作業者)

worker

young man(若者)

youth

身近なところにもgendered languageはたくさんありますね。server (waiter / waitressの言い換え)のように、なかなか定着しない単語も含まれていますが、知っておいて損のないものばかりだと思います。

代名詞の言い換え

先行する男性・女性を指す代名詞であるhe / sheも、言い換えが始まっています。なんと、三人称複数の時に使用する代名詞theyを、三人称単数の時にも使うんです!

単数を表すtheyになっても、続くbe動詞はareのまま、動詞にはsはつきません。

he / she【人称代名詞・主格】

they

his / her【人称代名詞・所有格】

their

him / her【人称代名詞・目的格】

them

his / hers【所有代名詞】

theirs

himself / herself【再帰代名詞】

themselves

このtheyを三人称単数にも使用するという言い換えに関しては、「ややこしい」「説明がまどろっこしくなる」と言った理由で、抵抗を感じる方も多いようです。

まとめ

今回のバークレー市の決議に関して、「言葉だけ変えても意味がない」「ほかにもっと取り組むべき問題がある」といった批判もあったようです。しかし、わたしは言葉には力があると思っています。言霊なんて言われたりもしますが、口にした言葉によって意識が変わることはあると思うのです。

日本でも少しずつ言い換えが進んでいますが、英語圏に比べたら遅れていると思います。(そもそも、政治家が平気で差別発言をしてしまう国ですからね…。)

www.inspire-english.netまた、英語を話す以上、日本人であっても、gendered languageを使用すれば、失礼と捉えられる可能性があります。

日本語でも英語でも、他者への敬意と配慮を忘れずにいたいものですね。

Point

男性・女性を特定したり、偏見を含むgendered languageは、gender-neutral languageに置き換えるよう、社会がどんどん変化しています。ニュースなどで最新の英語に触れ、言葉の変化を捉えていきましょう!

 

Today's proverb

A hedge between keeps friendship green.:親しき中にも礼儀あり