『アメリカ人教授に学ぶ 英文ライティングのメタモルフォーゼ』で洗練された英文を書く秘訣を学ぼう【中・上級者向け】

こんにちは。

突然ですが、通じる英語を書くことはできるようになったものの、改めて自分の書いた英文を読み直してみるとなんだかイマイチ…。そう感じることはありませんか?

英語が上達すればするほど、"読める"英文と"書ける"英文のギャップに悩み始めるんですよね。

ライティングの質を上げるためには、上質なインプットをと言われていますが、やみくもに読んでいるだけでは身に付きません。読解だけでない、ライティングのための英文の読み方があるはずなんです。

といっても、それを具体的に教えてくれる教材は今まであまり見当たらなかったように思います。

もしあったらすみません。こっそり教えてください…。

ライティングの達人が、どうやって達人の道にたどり着いたのか、それを余すことなく教えてくれる教材が誕生しました!それが、『アメリカ人教授に学ぶ 英文ライティングのメタモルフォーゼ』です。

縁あってわたしAzusaも制作に関わらせていただきました。また、Inspire EnglishのTakaも英文校閲として名を連ねております。

本気で英語上級者を目指したい学習者が一生の友にできる一冊に仕上がっています!

著者はこれまでの英作文教材がベストセラーになっている鈴木健士先生。そして、早稲田大学名誉教授であるジェームス・M・バーダマン氏が監修をされています。

今日は、英文ライティング教材の新定番、『アメリカ人教授に学ぶ 英文ライティングのメタモルフォーゼ』をご紹介いたします。

 

『アメリカ人教授に学ぶ 英文ライティングのメタモルフォーゼ』とは

コンセプト

本書は、ライティングのレベルを本気でアップさせたい方にお勧めの参考書です。

出版社であるKADOKAWAのサイトではこう紹介されています。

「読めるけど書けない」がなくなる、理想の参考書!
一生涯使える英文ライティングの教科書が誕生

「アメリカ人教授に学ぶ 英文ライティングのメタモルフォーゼ」 鈴木健士[語学書] - KADOKAWA

この「読めるけど書けない」というのは、多くの語学学習者の悩みだと思います。私はInspire Englishというオンライン英会話スクールで学習アドバイザーを担当していますが、英検準1級/1級を目指す方も口を揃えて、「読める英文のレベルは上がってきたけれど、それがアウトプットに繋がっている実感がない」とおっしゃっています。

もちろん私自身もそうです。

インプットなしにはアウトプットはできないのですが、ただただインプットしているだけでは、アウトプットのための技術として蓄積されていかないんですよね。そんな悩みに答えてくれるのが、この『英文ライティングのメタモルフォーゼ』です。

公式の説明にもある通り、この本は以下のコンセプトで書かれています。

  • 本書には、文法力や語彙力を駆使して“生きた英語”を書けるようになるヒントが詰まっています。
  • 何気なく読み流してしまいがちな表現から、“英語らしい”文とはどういうものかを解説します。
  • 「読む」ことを通じて「書く」力を身につけることを目指します。

これらを元に、ネイティブによって本書のために書き下ろされた英文エッセイ6本、著者である鈴木健士先生書き下ろしのバイリンガルコラム43本、文学や時事英語での使用例とともに学べる131のライティングのポイント解説がぎゅっと詰まっています。

著者・監修者

この本の著者は、英文ライティングの達人として評価の高い鈴木健士先生

通訳翻訳者と予備校講師の2つの肩書きを持ち、受験生や中級者向けの英作文対策本『大学入試 基本の「型」がしっかり身につく 自由英作文の合格教室』、中〜上級者向けのライティング対策本『ここで差がつく! 英文ライティングの技術』、『文法を正しく使うための 英語思考のレッスン』がベストセラーになっているので、ご存知の方も多いのではないでしょうか。

指導力が高いことはもちろん、現役の通訳・翻訳者として、圧倒的な英語力をお持ちです。特に、SNSにたびたび投稿されている英文のレベルの高さは本当に素晴らしく、目標にしたいと思われている方もいらっしゃると思います。

でも、目標にしたところで、そこにたどり着くルートが分からないと立ち往生してしまいますよね。

本書では、そんな鈴木先生がライティング力を磨いてきた道筋を学ぶことができます。

もちろん簡単な道のりではありません。むしろ、その果てしなさに愕然とされる方もいらっしゃるかもしれません。

でも手懸りを得たら、あとは自分の力で突き進むのみ!鈴木先生はそのための情報を、余すことなくこの本に詰め込んでいらっしゃいます。

そして、監修は、毎日の英速読/英文法/英単語、シンプルな英語で話すシリーズなどでも人気の早稲田大学名誉教授、ジェームス・M・バーダマン先生

鈴木先生のライティング力に感銘を受け、鈴木先生の方法論が広まれば、英語らしい英文を書く力の向上につながるのではないかということで、今回のコラボが実現したそうです。

日本人とアメリカ人、共に英語指導の分野で一流の先生方が一緒になって書かれたこの本は、お二人が長い時間をかけて指導の現場で蓄積されてきた、日本語話者が自然な英語を書けるようになるための秘訣が、ふんだんに織り込まれています。

また、わたしがアドバイザーをしているInspire Englishの講師のTakaも、英文校閲として参加しています。

本書の構成

本書は以下の7つの章で構成されています。

  • Chapter1 Basic Level #1 An Unexpected Kindness
  • Chapter2 Basic Level #2  Japanese Food
  • Chapter3 Advanced Level #1  The Civil Rights Movement
  • Chapter4 Advanced Level #2  The Glass Rabbit
  • Chapter5 Advanced Level #3  English and Japanese
  • Chapter6 Advanced Level #4  My encounter with Japanese literature
  • Chapter7 Practice  Sho-time

それぞれの章にはバーダマン先生の書き下ろしエッセイが用意されており、その中からピックアップした英文をレベルアップするコツを、それぞれ1-2ページで解説しています。

文法解説などの他、時事英語・文学での使用例、鈴木先生の書き下ろしコラム、練習問題がぎっしり詰め込まれているので、一つ一つのポイントに対して、しっかり理解を深め、身につけることができます。

1-2ページごとに区切って学習できるので、日々の学習計画に取り入れやすいですよね。

まず最初の2章は、親しみやすいBasicレベルの英文から学べます。

この本の対象となるかたの英語レベルとしては、若干”簡単すぎる”と感じられるかもしれません。しかし、上級者でもまずはこのレベルから始めるべきだと思います。

普段ならさらっと読んで過ぎてしまう一見シンプルな英文にも、ライティング力をアップさせるためのコツがたくさん隠れているのです。これらを丹念に拾って、自分で使える表現としてストックしていくことが、洗練された英文が書けるようになるための重要なポイントなのです。

そして、次の4章はAdvancedレベルです。

ここからはバーダマン先生のエッセイのレベルがぐっと上がります。使用される単語のレベルも上がりますので、各章冒頭のエッセイもかなり読みごたえがあると思います。しかし学習を進めていくうちに、原文が易しくても難しくても学ぶべきポイントの基本は共通していることに気が付くはずです。

最後の章は、それまでの6つの章で身につけたライティングの技術を生かして、和文英訳に挑戦する章です。

この本に1冊しっかり取り組めば復習までできるつくりになっているんです!

この教材の特長

この教材の特長は何といっても、英文を丁寧に読むことで、書くためのコツを学ぶということです。

ライティングのための素晴らしい教材はたくさんありますし、そこから学べるテクニックも多いのですが、一冊を使い終えたその先の学習法にまで効果が表れるタイプの教材はあまりないと思います。

しかし、この『英文ライティングのメタモルフォーゼ』は、1冊やり終えた後に書く英文が変わるだけではなく、その後に触れる英語からの吸収率まで変わる教材なのです。

つまり、一生モノの力が付く本なんです!!

また、英語のアウトプット力を測る上で、通じる・通じない、自然・不自然が議論されることを見かけることは良くありますが、この教材はさらにその先のテクニックにまで踏み込んでいます。

垢ぬけた英文が書けるようになりたいと、この本を通して一層感じるようになりました。

ネイティブによる書き下ろしエッセイ(6本)

何といってもこの本の特長は、まずネイティブによるエッセイを読んで学ぶということです。

もちろん、ネイティブの書くエッセイ自体は珍しくはないのですが、それを文法解説したり和訳したりするだけでなく、”なぜこの言い回しを選んでいるのか”というところまで踏み込んでいるので、理解がぐっと深まります。

エッセイのテーマも様々で、読んでいて面白いです。

ポイント解説(131ポイント)

コラムの中から、ライティング上達のポイントに繋がるポイントを解説しています。

目的は読解や文法解説ではなく、”書くため”の解説です。日本人学習者にありがちな英作文に対し、何を考え、どのように書き換えていくのかが分かります。

実践的なライティングのコツが掴めますので、すぐに使ってみたくなると思いますよ。

著者による書き下ろしコラム(43本)

これはかなり珍しいのではないでしょうか?著者自ら書き下ろした英文コラムがたくさん掲載されています。

ただの例文ではなく、ライティング上達のためのポイントを実際に使ったコラムなので、ここもかなり読みごたえがあります。純粋に読み物としても楽しめますし、どんなポイントが使われているのか探しながら読むとさらに力が付きます。

このコラムだけでも一冊の参考書が作れるくらいのボリュームです!

鈴木先生ご自身は、子どもの頃に特別な英語の教育を受けた方ではありません。多くの日本人学習者と同じく、普通に学校教育を受け、その後あらゆる手段で英語力を磨いていらっしゃいました。

私たちも同じように努力を重ねれば、いつか鈴木先生のような洗練された英語に近づけるのではないかという希望を持って頑張れますよね。

時事英語、文学などでの使用例(131本)

これも学習者には嬉しいポイントですよね。ニュース記事や小説などでの使用例がすべての学習ポイントに掲載されています。

本書のエッセイだけでなく、実際に使用されている英文を確認することで、理解も深まりますし、学んだ表現の使用イメージが広がります

時事英語と文学からバランスよく抜粋されているので、さまざまな場面で使える表現であることが実感でき、学習意欲が刺激されますよ。

練習問題

133の各ポイントにはそれぞれ練習問題が付いています。

学んだことをその場ですぐにテストできるのが良いですよね。

読みっぱなしにして理解したつもりになってしまわないためにも、ここはしっかり解いておくことをお勧めします。

ただし、解説を読んですぐに説いた問題は記憶が新しいため、きっと正答率が高いと思います。肝心なのは、それが定着しているかどうかですよね。

この本の最終章であるChapter 7は、和文英訳トレーニングになっています。レッスン形式の解説ですので、生徒の一人になったつもりで、実際に手を動かして(和文英訳してみて)取り組むのがおすすめです。

自分で書いた英文と解答例を見比べ、真似できそうなところはどんどん吸収していきましょう。

レビュー紹介

学習者目線のおすすめポイントだけでなく、専門家の評価を…ということで、Twitterで見かけたレビューをご紹介します。

北村一真氏

倉林秀男氏

越前敏弥氏

一ノ瀬安氏

マヤ・バーダマン氏

組み合わせておすすめしたい教材

この『アメリカ人教授に学ぶ 英文ライティングのメタモルフォーゼ』1冊で、本書のねらいである"英語らしい洗練された英文を書く力をつける"ことはできるのですが、さらに他の教材と組み合わせて学習することで、効果がますます高まります

お勧めしたい教材はたくさんありますが、その中からいくつか紹介させていただきますね。

基本の「型」がしっかり身につく 自由英作文の合格教室

「この本に挑戦したいけれどまだ難しいな…」という方、「英文をブラッシュアップする前に、そもそもエッセイの書き方が分からない」といった方にお勧めしたいのが、鈴木先生の『基本の「型」がしっかり身につく 自由英作文の合格教室』です。

こちらの本も、私とTakaが制作に携わっております。

論理的一貫性を保ち、分かりやすく説得力のある英文を書くためのコツが確実に身に付きます。

受験対策本のカテゴリーにはなりますが、エッセイの基本が詰まっていますので、一般の学習者の方にもおすすめです。また、受験以外の各種英語試験対策にもピッタリです。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

www.inspire-english.net

ここで差がつく!英文ライティングの技術

「試験対策としてすぐに得点アップにつながる技術を手に入れたい!」「『英文ライティングのメタモルフォーゼ』のAdvancedのエッセイはまだ難しい…」という方は、『ここで差がつく!英文ライティングの技術---英語は「I」ではじめるな』がおすすめです。

英文ライティングと言えばすったけ(鈴木健士)先生、すったけ先生と言えばこの本!というくらい、とっても人気の教材です。

レッスン形式の解説で、自分の書いたエッセイを客観的な視点でブラッシュアップさせるコツを、丁寧に学ぶことができます。

www.inspire-english.net

エッセイ集

『英文ライティングのメタモルフォーゼ』で、インプット欲が上がった方は、ニュースや小説などをどんどん読んで、真似したい表現を蓄積していく段階に入ると思います。

好きな本を選んだり、ネットの記事を探すのももちろん良いのですが、本書と同じようにエッセイからテクニックを盗んでいきたいと思われる方におすすめしたいのが、ケイ・ヘザリさんのエッセイです。

2022年末に休刊となったENGLISH JOURNALでの連載から抜粋されたエッセイ集です(和訳および音声付)。上級者の方には易しく感じられる英文かと思いますが、シンプルだからこそ、自分で和文英訳したものと比較しやすいですし、すぐに使える表現が見つかると思います。

また、ご本人による読み上げ音声付ですので、表現を定着させるために、耳からも英文に何度も触れることができます。

音声を活用して、スピーキングにも生かせる表現として体に染み込ませることができそうですね。

まとめ

発売と同時に各書店の語学書ランキング上位に入るなど、大きな反響を呼んでいる『アメリカ人教授に学ぶ 英文ライティングのメタモルフォーゼ』。制作過程に携わった者として、たくさんの方が手に取ってくださったことがとても嬉しいです。ありがとうございます!
ライティングは、英語の4技能(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)の中で、スキルを磨くコツが一番掴みにくいのではないでしょうか?

私自身、どう学習したらいいのかよく分らないまま、書きなぐり続けて英検1級を受けました…。

そんな中で、『アメリカ人教授に学ぶ 英文ライティングのメタモルフォーゼ』にじっくり取り組めば、小手先ではない、一生モノのライティング上達法が手に入ります。

ぜひ試してみてくださいね!

 

Today's proverb

Better to ask the way than go astray. : 聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥