崖っぷち舞台役者が婚活を始めたら英語がペラペラになりました

30代半ばの婚活難民が英語学習に流れ着き、TOEIC955点、英検準1級を取得。次なる目標は英検1級。留学なしでどこまでいけるか挑戦中。

『おもてなしの基礎英語』を見ていたら悲しくなった話。There’s no use crying over spilt milk.

こんにちは。

 

語学学習の定番、NHK。英語学習ができる番組がたくさんあって、英語学習初期からテレビもラジオも利用しています。特にEテレは、語学番組や英語アニメ、ドキュメンタリーを防水テレビに録画してお風呂で見るのが日課であり、わたしの英語学習にはなくてはならない存在です。

そんなわたしが、1月中頃に放送された『おもてなしの基礎英語』を見て、とっても悲しくなってしまいました今後継続して見るかどうかも考えてしまうほどなので、ここで吐き出すことにしました。

個人的な愚痴にならないよう心掛けますが、どうしても私情が入ってしまうと思います。ご容赦ください。

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『おもてなしの基礎英語』とは

NHK Eテレで2018年4月から始まった語学番組です。『おとなの基礎英語(オトキソ)』『しごとの基礎英語(ジョブキソ)』の後番組としてスタートしました。タイトルから分かるように、東京オリンピックを見据え、増加するであろう外国人観光客をおもてなしする為の英語表現を学びます。ミニドラマを見てスタジオで解説する形式は、オトキソ、ジョブキソと同じです。

スタジオの司会はハリー杉山さん、生徒役は三田寛子さん、パンサーの向井慧さん、講師は以前『ニュースで英会話』の講師もされていた井上逸兵さんです。

ドラマパートは、ゲストハウス”おもてなし”を営む早苗ちゃんを主軸に、個性豊かなお客さんたち、早苗ちゃんを取り巻く家族や友人たちとの間で起こる騒動を描いています。 

www2.nhk.or.jp

 

問題の回の放送日

わたしが悲しくなってしまった回が放送されたのは、2019年1月の第3週目、1/14〜17エピソード149〜152の4回分です。

 

問題のストーリー

早苗が営む営むゲストハウスハウス”おもてなし”に、”一風変わった”お客さんがやって来ます。彼の職業はツアーコンダクター。しかし、ツアー客は見当たりません。すると、彼はトランクを開き、こちらにお客様がいると言います。そのお客様とは、ぬいぐるみたち。戸惑う早苗と、ゲストハウスを手伝っているデイビッドは、話についていけず、”You lost me.”(話についていけません。)”Here we go again.”(またかよ。)と反応します。

その後、ぬいぐるみたちと記念撮影のためにカフェにやって来た早苗とライアン。ライアンは、「ぬいぐるみの持ち主たちが料金を払ってぬいぐるみをライアンに託し、写真を撮ってネットに投稿している」と、ぬいぐるみのツアーコンダクターの仕事について説明します。投稿した写真への持ち主たちの反応を見た早苗は、”What a unique job!”(何て面白い仕事なの!)と食いつきます。

ライアンに、写真を撮ってみないかと勧められた早苗は、ぬいぐるみたちの撮影に挑戦します。「それをもうちょっと前に…」と言う早苗に、「お客様は物じゃない!」と窘めるライアン。さらに「ぬいぐるみが笑っていないから、笑わせてくれ」と早苗に要求します。”You can’t be serious.”(本気じゃないですよね?)と聞き返しますが、ライアンは本気。早苗の渾身のジョークはライアンのツボに入り、ぬいぐるみを放り投げながら爆笑します。

ライアンはお客様たちを連れてタイに旅立ち、早苗はライアンのサイトを見ながら、「みんな楽しんでいるといいな。」と呟きます。すっかりぬいぐるみを生き物扱いしている早苗に、デイビッドは、”You’ve gone off the deep end.”(君も重症だな。)と呆れます。と、そこへライアンから電話が。どうやらお客様を見失ったようです。ゲストハウスに置き去りにされていたのを見つけると、ライアンは、「それをこっちに送ってくれないか?」と頼みます。今度は逆に早苗が「彼女を送って、でしょ!」と咎めます。”Incredible”(信じられない)とますます呆れるデイビッド。

 

なぜ悲しくなってしまったのか

この記事の冒頭に貼り付けしている写真は、わたしが家族と沖縄に行った時に撮った写真です。ぬいぐるみは、羊毛フェルトでわたしが作った、映画『グレムリン』のギズモです。他にもたくさんのギズモを手作りしておりまして、そのぬいぐるみたちの写真を撮ってInstagramに投稿する”ぬい撮り”愛好家でもあります。(インスタのプロフィール写真は舞台写真で、ぬいぐるみになりたくて着たものではありません。)

www.instagram.com

ぬい撮り写真をインスタにアップすることで、海外のフォロワーさんとの交流が生まれたのが、英語学習を始めたきっかけの一つです。また、役者をやっているものの、記念撮影というものがものすごく苦手なので、旅行の思い出を残すために、わたしの代わりにぬいぐるみに登場してもらっています。

”ぬい撮り”愛好家はわたしだけではなく、国内外にたくさんいます。2017年あたりに注目され、タカラトミーアーツからはぬい撮り専用のぬいぐるみが発売されたほど。

また、ドラマに出てきたライアンが「実はこの手のツアーは、すごく人気が出てきているんだ。」と言っていますが、ぬいぐるみを連れて旅をするツアー会社は日本にも実在しますし、テレビで取り上げられたり、書籍にもなっています。

今回の『おもてなしの基礎英語』を見ていて悲しくなったのは、ライアンの描かれ方と周囲の反応が原因です。

 

過剰な描かれ方

まず最初に、ライアンのキャラクターの特殊性について。

語学番組ではありますが、バラエティーの役割もありますので、多少大げさに描かれることは仕方ないと思います。ストーリーにインパクトがあった方が、英語の学習効果も高まるでしょうしね。その為、これまでも非常に個性的なお客様がゲストハウスにやって来て、早苗がその対応に悪戦苦闘する様子が、コミカルに描かれています。

今回のライアンもその流れの中の一人ですので、出だしは気にならなかったんです。ただ、インパクトのある登場をしたライアンに対する「また変な奴が来た…」という早苗ちゃんと、デイビット、それに呼応して笑うスタジオの反応は辛かったです。キーフレーズが”You lost me.”(話についていけません。)ですしね。

2日目、ライアンが自分の仕事について説明すると、早苗は”What a unique job!”(何て面白い仕事なの!)と態度を変えました。

この後は平和に進むのかと思いきや、悲しみに追い打ちをかけてきた3日目です。ぬいぐるみをitと呼ばないでなんて話は、一つ前の回でライアンの仕事に理解を示した早苗ですから、きちんと説明すれば伝わるはずです。さらに「ぬいぐるみを笑わせて」というむちゃぶりは、ライアンを”変人”に仕立て上げるストーリーとしか思えません。なぜなら、ぬいぐるみにも表情があるのは事実ですから。もちろん、ぬいぐるみが実際に笑ったり怒ったりするわけではありません。しかし、角度や光の当たり方などちょっとした違いで表情は違って見えます。能を見たことのある方であれば分かっていただけるのではないでしょうか。

ライアンも、そういったことを指導するだけで良かったはずです。しかし、”変わった人”であるライアンを描くために、わざわざ「笑わせて」という流れにしたように感じてしまうのです。さらに、早苗のジョークに対する過剰な反応お客様として大事に扱っているぬいぐるみたちを放り投げて笑い出すのですから、めちゃくちゃです。スタジオももちろん、ドラマの流れに合わせて、”ライアンはやばい人”という空気になっていました。

スタジオにいる人たちを責めるつもりはありません。タレントさんとしての仕事をしたまでです。ストーリーが”ライアンは変人”として描いているんですから、そのまま素直に反応しているだけだと思います。しかし、このミニドラマでライアンをそんな風に描く必要があったのか、甚だ疑問です。 

 

マイナーな趣味は笑われるべき存在か

確かに万人が理解できる世界観ではないと思います。しかし、「好きだ」「楽しい」と思う人がいる仕事や趣味を、「おかしい」と笑うのは普通なのでしょうか。ライアンのしている仕事だって、ドラマが”意図的に”過剰に描かなければ、他人に迷惑をかけることではないのです。

結局最後までデイビットは、ぬいぐるみを物扱いしなくなった早苗に対して、”You’ve gone off the deep end.”(君も重症だな。)と呆れます。さらにラストには”Incredible”(信じられない)とますます呆れています。

ライアンの人柄が笑われていただけで、仕事そのものが笑われていたわけではないという反論があるかもしれません。でも、仮にそうであれば、ぬいぐるみを放り投げるなんて雑な扱いをする演出にはしないと思うのです。

 

お客様の奥にいるお客様の気持ち

ここまで書いてきたように、この番組をみて、ぬい撮りを楽しむわたしはとても悲しい思いをしました。わたしまで馬鹿にされているような気がしたからです。しかし同時に、「ぬいぐるみと旅をする仕事とそのお客様」を馬鹿にしていることも悲しかったのです。

ライアンがドラマの中で言っていたように、ぬいぐるみのツアーは需要があり、会社が実在します。しかもこの番組と同じNHKの「あさイチ」で特集も組まれたそうです。

unagi-travel.com

わたしはぬい撮りにハマったころにこの会社の存在を知り、夢のある素敵な仕事だと思っていました。利用者は、さまざまな事情で自分自身が旅行に行けない方たちです。その方たちが、自身の代わりとして大事なぬいぐるみを旅に出し、自分が旅に行ったような気分を味わっているのです。以下のインタビューを読んでいただければ、利用されている方々がどんな思いを込めてツアーに申し込んでいるかが分かると思います。

style.nikkei.com

上の記事を読んでいただければ、この仕事が「馬鹿にした笑い」の対象にすべきではないことが分かっていただけたはずです。今回の一連の放送は、ライアンの奥にいるお客様、ひいては、これまでこのサービスを利用した方、これから利用しようと考えている方たちの気持ちも踏みにじったのではないでしょうか。

Eテレと総合の違いはあるものの、同じNHKで特集が組まれていたのであれば、そんなことくらい気付けなかったのでしょうか。

 

おもてなしとは何なのか

そもそも、この番組は”おもてなし”の基礎英語というタイトルです。

Wikipediaによると、おもてなしの定義は

おもてなしとは、心のこもった待遇のこと。顧客に対して心をこめて歓待や接待やサービスをすることを言う。

とのことです。

心を込めた歓待が、お客様を”変人扱い”することなのでしょうか。そもそも”変人扱い”せざるを得ないストーリーが、おもてなしを描く番組にふさわしいのでしょうか。

一度そう感じてしまうと、この番組の掲げる”おもてなし”が薄っぺらいものに思えてしまい、3月までの間継続して見る意欲が失われてしまいました

 

自分の趣味に関わることを馬鹿にされたので過剰に反応しているのだと思います。また、私自身「変な人と思われるんじゃないか」とコソコソ写真を撮っていたこともあるので、痛いところを突かれて腹が立ってしまったのかもしれません。

 

しかし、もしも今回の『おもてなしの基礎英語』で、ぬいぐるみの旅行代理店に偏見を持ってしまった視聴者の方が、この投稿がきっかけで本当のぬいぐるみ旅を知ってくださったら、とても嬉しいです。わたしは、人の心を癒し、希望を与えてくれる素晴らしい仕事だと思っています。

そして、もしもわたしのようにぬい撮りをしている人を見かけたら、温かい目で見守ってください

 

わたした、同じように”変人”扱いされてきたゲストたちに対して、特に怒りも悲しみも感じていなかったので、私自身他のマイナーな趣味に関しては鈍感だったと思います。今回ことをきっかけに、他者に対する寛容さを身に付けたいと思います。そして、表現者のひとりとしても、他者の気持ちに鈍感にならないように、いっそう気を付けていきたいと思います。

 

以上、『おもてなしの基礎英語』を見ていたら悲しくなったお話でした。書いていて気付きましたが、悲しみを通り越して怒っているんですね、わたし。

愚痴のような投稿に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

 

悲しみのあまり、録画していたものをすぐに消してしまったので、スタジオの反応に関しては不正確な部分があるかもしれません。ストーリーやキーワードについては、この記事作成の為に『おもてなしの基礎英語 1月号』を買って確認しましたので、一部端折った以外は正確と思いますが、万が一間違いがあった場合は、コメント等でお知らせください。

せっかく買った本も、持っておくのが悔しいからKindleからさっさと消してしまうほど、わたしの気持ちはまだ沈んでおります…。 

 

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There’s no use crying over spilt milk.:覆水盆に返らず