20年の役者経験から考えた英会話ロールプレイレッスン攻略法【演技は難しい?】

こんにちは。

英会話レッスンの定番、ロールプレイ。皆さん得意ですか?

先日、ワーホリ経験もあり英語も問題なく話せる友人が、「スキルアップの為に英会話レッスンを受けているんだけど、ロールプレイが辛い。何を話したらいいのか分からない。」と困っているのを聞いて、はたと気付きました。

ロールプレイって、即興劇じゃん!

そりゃ難しいですわ。わたしは仕事柄、あまり違和感なくロールプレイに取り組んでいましたが、役を演じるということに馴染みの薄い一般の方には抵抗があると思います。パターンプラクティスのような決まったテキストがないので尚更です。

そこで今日は、ロールプレイレッスンの苦手を克服する3つのコツを、舞台俳優の視点から考えてみたいと思います。

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即興劇とは何か

そもそも即興劇とは何なのか、Wikipediaの力を借りてご説明致します。(少し長くなりますので、演劇には全く興味がないという方は、読み飛ばしてください。)

即興劇(そっきょうげき、英: Improvisational theatre)は、台本を用意せずに、即興的な演技手法を用いて、俳優が自発的に演じる形式の演劇である。

もう少し掘り下げてみましょう。

即興劇の全ての形式において、役者は会話や動作をその場で創作する。本質的に予測不能であり、予期し得ない様々な事件が起きる為に、即興劇は自然と喜劇風になる。情緒に溢れる感動的なシーンや、物語とは言わないような芸術的なシーンも、即興で演じることが可能である。

ここまでの説明は、主にお客様の前で演じる即興劇についてですね。俳優のトレーニングとして行う即興劇はエチュードと呼ばれることもあります。

また、即興劇のためのトレーニングについては以下の通りです。

既に1,000近い数のエクササイズ、ゲーム、テクニック及び形式が、劇場での上演向けに考案されており、今なお増加している。多くは、演技や演習につながるようなレクリエーション型のゲームである。各ゲームはそれぞれ、特定のスキルをディスプレイすること、あるいは訓練することが出来るように設計されている。ここでいうスキルとは、身体表現、人格の創出、対応力、緊張を解くこと、提案に寛容であること、信頼すること、といったことである。

これらは即興劇を演じる”俳優”に必要なスキルですので、レッスンでロールプレイを行う学習者に必須というわけではありません。しかし、ロールプレイを円滑に進めるヒントになると思います。

ロールプレイを楽しむコツ

ロールプレイは楽しんだ者勝ちです!でも苦手意識を持ったままでは楽しめませんよね。そこで、ロールプレイを楽しむために意識していただきたいポイントをまとめました。

演じるということを忘れよう

「いきなり何言ってるんですか?」と言われそうですが、ロールプレイだからって何か役を演じなきゃと思う必要はありません。むしろその気持ちは捨てた方が得策です。

なぜなら多くの日本人の場合、演技=小学校の学芸会の刷り込みが激しく、過剰に何かをしなきゃいけないという、もはや強迫観念に近いたぐいのものに憑りつかれているからです。わたしは8年ほど専門学校で演技のコースを教えていましたが、レッスンの初回はこの呪縛を取り払うことから始めていたほどです。

これに縛られていると、「自分以外の誰かとして、大袈裟に表現しなきゃ」という思いに駆られ、結果的に何もできなくなってしまうのです。

ロールプレイで与えられるのは、役ではなく役割だと思ってみませんか?「自分が旅行者の時は」「自分が患者の時は」のような、自身の体験をそのまま持ち込めるものから、「もしも自分がホテルに勤めていたら」「もしも自分が旅行代理店に勤めていたら」のような夢のような話までいろいろありますが、自分のままで大丈夫です!

演じなきゃいけないという緊張感や苦手意識が、会話の邪魔をしてしまいます。妄想の世界に飛び込んでしまいましょう。

目的をはっきりさせよう

役割を理解したら、今度は目的をはっきりさせましょう。ロールプレイの上では、この目的によって、自身の言動が左右されます。そのため、目的はできるだけ具体的にした方が、会話を進めやすくなります。

例えば目的が「ホテルの部屋についてクレームをつけたい」だけでは、例え日本語であっても「何を言おう…」ってなってしまいますよね?これはまた目的というより、シチュエーションの範疇です。そこで、「ホテルの部屋のシャワーから水しか出ない。部屋を変えて欲しい。」ここまで用意すれば、英語力の問題はさておき、話し出すことは余裕になるはずです。

さらに問題はその先です。「部屋に空きがないので変えられない。」と返ってきてしまうかもしれません。転ばぬ先の杖として、もう一歩踏み込んだ目的まで考えておくとベターです。「ホテルの部屋のシャワーから水しか出ない。部屋を変えて欲しい。無理なら金銭的な埋め合わせが欲しい。」とか。「長いフライトを終えたばかりで、どうしても今晩はシャワーを浴びずには寝られない!」でもいいですね。

とにかく、ロールプレイを始める前、役割やシチュエーションを与えられた時点で、目的を深く、明確にしておきましょう。相手の受け答えによっては準備が無駄になることもあるかもしれませんが、何を言ったらいいのか分からなくなる不安を抱えたまま始めるより遙かにマシです。

相手の話を聞こう

最後に3つ目、これが1番大事です。相手の話を聞くこと

俳優でも相手の話を聞けない人は、会話が成立しないので、ひとりよがりの演技になりがちです。台本があればそれでも話は進みますが、即興劇の場合崩壊します。

ロールプレイの場合も同じです。先ほど目的をはっきりさせると述べたので、自分が発信するほうに意識が向いてしまうと思いますが、ロールプレイが始まったら、話を聞く方に重点を置くようにしてみてください。会話はアクションとリアクションの繰り返しです。リアクションなしには展開しません。相手の話を聞かないと、このリアクションができないのです。

会話ですから、一人一人が長く喋る必要はありません。1~数センテンス話してみて、相手の返答を聞く。そこで自分の目的に照らし合わせてこちらも返答をする。この繰り返しの中で、話が盛り上がったり、膠着状態になったり色んなことが起こると思います。自分の予想と違う反応が返ってくるのが、パターンプラクティスにはない、ロールプレイの醍醐味です。日常会話と同じく、相手の話に耳を傾け、予想外の返答を楽しみましょう

 

ロールプレイへの苦手意識が少しは薄れたでしょうか?

役者経験が言語の習得に生きていると感じることが他にも色々あるので、これから少しずつご紹介したいと思っています。

  

Today's proverb

Think today and speak tomorrow.: 軽率に喋るな