こんにちは。
今日は、英語学習者におすすめの洋書のご紹介です。英語で本格ミステリーを読む楽しさを与えてくれた一冊、『The Girl on the Train』をご紹介します。
『The Girl on the Train』とは
2015年にイギリスの作家ポーラ・ホーキンズが上梓したミステリー小説で、ベストセラーとなりました。翌2016年には、『プラダを着た悪魔』で野心家の先輩を好演したエミリー・ブラント主演によりアメリカで映画化され、週末興行収入ランキング1位を獲得しています。映画も見ましたが、エミリー・ブラントがめちゃくちゃ良いです!『メリー・ポピンズ リターンズ』の主演でも話題のエミリー・ブランドですが、幅の広い俳優さんだなぁと感心させられます。
この『The Girl on the Train』、「信頼できない語り手」によるミステリー、結婚生活やDVなどをテーマにしたストーリーから、第2の『Gone Girl』とも言われています。
あらすじ
Wikipediaより
職を失ったレイチェル・ワトソンはあてもなく電車に乗り続ける日々を送っていた。レイチェルは電車の窓から別れた元夫、トムの新しい生活や近所のヒップウェル夫妻の暮らしぶりをのぞき見ていた。レイチェルにとって、ヒップウェル夫妻は理想の夫婦に見えた。
ある日、電車から覗き見を続けるレイチェルは、メガンの不倫現場を目撃した。「ヒップウェル夫妻は完璧な結婚生活を営んでいる」という幻想を打ち砕かれたレイチェルは、メガンに対して並々ならぬ怒りを感じた。酒を浴びるように飲んだ後、レイチェルはメガンを叱責しに向かったが、途中で意識を失ってしまった。数時間後に意識を取り戻したとき、レイチェルは自宅にいた。しかも、身に覚えのない傷を負っていた。そんなレイチェルの元に、ライリー刑事が訪ねてきた。メガンが失踪したのだという。
ここからよせば良いのに犯人探しを始めるレイチェル。曖昧どころかぐちゃぐちゃな記憶を頼りに真相に辿り着いていきます。どんどん明らかになる事実に、ページをめくる手が止まらなくなります。
英語のレベル
英単語8000語レベルであれば読みこなせると思います。私は英検準一級を目指している頃に読みましたが、たまに辞書を引く程度で読めたので、ストーリーに集中して楽しむことができました。また、覚えたての英単語にこの小説の中でたくさん出会えたので、語彙力増強と補強にも役立ちました。
『Gone Girl』は小説特有の表現や単語がたくさん出てきたので、読むのにだいぶ苦戦しましたが、こちらは英文がとても簡潔で簡単です。洋書多読を通らずに英語を勉強してきた学習者でも取っつきやすいと思います。既にある程度英語力がついていて、これから洋書リーディングを始めてみたいという方におすすめです。
読後の感想
『信頼できない語り手』によるミステリーですが、信頼できないというか、「あんたはもうやめとけ!」と言いたくなるような主人公です。アルコール中毒により、記憶がめちゃくちゃ、生活もボロボロ。電車の中から眺めるかつての我が家と、元夫の幸せな新生活。その隣人の理想的な夫婦生活。自分が女だからということもあって、この主人公の苦しみに最初の1ページから引き込まれます。逆に、ここで入り込めない方にとっては、終始イライラさせられる主人公かもしれません。
主人公であるレイチェルを主軸に、3人の女性による語りで進んでいきます。時系列が入り乱れていますが、難しくはありません。気持ちよくパズルのピースがはまっていきます。
傍から見れば幸せな結婚生活も、実際のところは本人たちにしか分からない。むしろ、本人にすら分からない。語り手3人が抱える闇が、理想の裏側を描きだしていきます。今まで見ていたもの、信じていたことがどんどん崩れ去り、最後に辿り着く真実は、決して後味がいいものではありません。しかし、レイチェルが自分の記憶とともに自分自身も取り戻していく過程は、気持ちよくもあります。
読者は途中で犯人が読めてしまうので、ミステリーとしては物足りなく感じる方もいるかもしれません。しかし、レイチェルが犯人に辿り着いていく過程はスリリングで、最後まで一気に読めました。
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