こんにちは。
突然ですが、英語力を表す”日常会話程度”の基準とは一体何なのでしょうか?一般的に、旅行会話レベル/サバイバルレベル→日常会話レベル→ビジネス英語レベルの順で目標設定がなされ、私の周りでは、趣味の英語学習のゴールに日常会話レベルを目指す方が多いようですが、語学の基準って非常に曖昧なんですよね。
私自身、このブログタイトルに”英語がペラペラになりました”と付けたものの、果たして本当にペラペラと言えるかどうかは自信がありません。というかそもそも、ペラペラの基準が分かりません。
”趣味の英語のゴール”とも言われる英検準一級を取得していますし、TOEIC L&Rでは955を取得しているので、”英語ができる人”という扱いを受けるようになりました。最低限自分の意思を伝えることに不都合はありません。飲み会くらいの時間であれば談笑も可能です。
しかし日常会話であれ、伝えられる・理解できる情報の深さで言えば、日本語には到底及びません。日常会話のかたまりと言われる海外ドラマ『フレンズ』も、英語字幕の助けを借りなければ80%程度の理解度です。
そこで、英会話の”日常会話程度”とはどのくらいのレベルなのか、そこに到達するまでにどのくらいのコストがかかるのかについて調べてみました。
- そもそも日常会話レベルの英語ってどのくらい?
- 日常会話レベルまでの時間的コスト
- 日常会話レベルまでの金銭的コスト
- 高いお金を払えば英語学習は続けられる?
- コスパを上げるために独学力を磨こう
- 自立した学習者になるには
- まとめ
そもそも日常会話レベルの英語ってどのくらい?
日常会話の”日常”の定義ってとっても難しいですよね。家族や友人、恋人と過ごす時間だけでなく、働くことだって日常生活の一部ですし、買い物や外食はもちろん、人によっては風邪などで病院に行くことも日常と言えなくもない訳です。しかもそれを、何とかできるレベルなのか、何の問題もなくこなせるのかどうかで、かなりレベルに開きがあります。
ですから、英語を勉強しているとよく聞かれる、「日常会話はできる?」という質問が、一番何と答えたらいいのか分からなくなるんです。特に海外生活経験がないわたしにとっては。
そこでまず、世の中一般の”日常会話”の定義について考えてみたいと思います。
企業が求める日常会話レベル
採用基準に日常会話程度と書いている企業が、実際のところどのくらいを想定しているのかを、求人サイトで調べてみました。業種により異なりますが、英検2級、TOEIC500〜600点くらいが最も良く併記されていました。多くの企業はこのくらいの英語力を”日常会話程度”と判断しているようです。
ちなみに、ビジネスレベルの英語力を求める職種は、TOEIC800点以上が条件になっていることが多いです。
CEFRの定める日常会話レベル
CEFRってご存知ですか?学習者の言語運用能力を客観的に評価するために使われている基準です。(英語以外の言語にも使用されます。)A1~C2までの6段階で判定されます。NHKの語学番組のレベルはこのCEFRを使用して表示されているので、ご存知の方も多いことと思います。
このCEFRにおいてどの段階が日常会話レベルにあたるのかを以下のサイトで確認してみました。
仕事、学校、娯楽などで普段出会うような身近な話題について、標準的な話し方であれば、主要な点を理解できる。その言葉が話されている地域にいるときに起こりそうな、たいていの事態に対処することができる。身近な話題や個人的に関心のある話題について、筋の通った簡単な文章を作ることができる。
とされているのが、下から3番目のB1レベルです。これだと日常会話レベルとしては少し心許ない気がしますが、その一つ上のB2になると、
自分の専門分野の技術的な議論も含めて、抽象的な話題でも具体的な話題でも、複雑な文章の主要な内容を理解できる。母語話者とはお互いに緊張しないで普通にやり取りができるくらい流暢かつ自然である。幅広い話題について、明確で詳細な文章を作ることができる。
となっていますので、日常よりも少し上のレベルのようです。
ということで、CEFRではB1~B2の間くらいが日常会話レベルに対応すると言えるのではないでしょうか。
各種検定による日常会話レベル
今度は上記リンクのサイトにて、CEFRのB1~B2レベルに対応する各種英語試験のスコアを調べてみました。
B1
- 英検:2級上位合格~準1級ギリギリ合格レベル
- TOEIC L&R:550-780
- TOEIC S&W:240-300
- IELTS:4.0-5.0
- TOEFL IBT:42-71
- GTEC:960-1189
B2
- 英検:準1級上位合格~1級ギリギリ合格レベル
- TOEIC L&R:785-945
- TOEIC S&W:310-350
- IELTS:5.5-6.5
- TOEFL IBT:72-94
- GTEC:1190-1349
以上のような結果となります。この二つの間ですから、CEFRを基準にすると、英検準1級、TOEIC L&R 780程度が日常会話レベルとなるようです。企業が求めていたレベルが英検2級またはTOEIC500~600点であったことを考えると、1ランク高い印象ですね。
また、英検のサイトでは、各級の審査基準は以下とされています。
準2級:日常生活に必要な英語を理解し、また使用することができる。
2級:社会生活に必要な英語を理解し、また使用することができる。
準1級:社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。
1級:広く社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。
準2級に、”日常”という言葉が含まれているので、これが日常会話を意味するようにも思えますが、大人であれば社会生活も日常会話の範疇ではないでしょうか。とすると、英検では2級程度が、”日常会話”を想定したレベルの英語力と言えそうです。
一般的な日常会話レベル
上記を総合すると、日本の企業や試験が想定する”日常会話レベル”は、英検2級、TOEIC L&R 600点程度ですが、世界で求められる”日常会話レベル”は英検準1級、TOEIC L&R 780点程度になるようです。
日本ではまだ、英語を勉強すれば武器になりますね。
英語が苦手とされる今の日本では、”日常会話レベル”の基準が若干甘めなのかもしれません。いずれにせよ、国際化が進んでいるとはいえ、現段階では高い英語力を求められる職場は限られていますし、英検2級、TOEIC L&R 600点程度で「英語ができます」、英検準1級、TOEIC L&R 780点程度で「英語が得意です」と言って問題なさそうです。文句なしに”日常会話レベル”と言えるのは後者ですね。
日常会話レベルまでの時間的コスト
それでは、日常会話レベルに到達するまでに必要な学習時間について考えてみたいと思います。
本来であれば、スピーキング能力のデータを元に考察すべきところですが、TOEIC S&Wはまだ、試験開始から日が浅いこと、その他の試験は受験者の数やデータが少ないため、便宜的にTOEIC L&Rのデータを元に考えていきたいと思います。
日本人のTOEIC L&Rの平均スコアを日本の社会人の平均的英語力と想定してみましょう。IIBCが公開しているデータによると、2017年の時点で517だそうです。
TOEICを受験している段階で、既に一定レベルの学習をしている可能性は大きいですが、逆にある程度のスコアに達したら受験しなくなる方も多いですし、今回はサンプルデータの偏りは気にせず、500を基準に計算したいと思います。
一般に、TOEICのスコアを100アップさせるのに200~300時間の学習が必要だと言われています。文句なしに”日常会話レベル”となるには、これを780まで、280スコアをアップせねばなりません。つまりおよそ700時間かかる計算になります。
毎日1時間勉強したとしておよそ2年、3時間勉強すれば1年以内に到達できることが分かります。私は英会話レッスンに通い始めてから、およそ1年でTOEIC L&R 855に到達しました。それまで毎日2~3時間勉強していたので、妥当なラインだと思います。
しかし、週に1度1時間程度の英会話スクールのみで700時間に到達しようとするのであれば、13年と半年の期間がかかります。「ずっと英会話スクールに通っているのに、なかなか英語が上達しない…」という方によく出会いますが、話を聞いてみると、レッスン以外では何もしていないという方が多いです。そうであれば、なかなか英語が話せるようにならないのは当たり前のことで、その英会話スクールが悪いとは限らないんですよね。
その辺りをもう少し詳しく掘り下げるために、英会話スクールで日常会話レベルを達成するまでに必要な金額を考えてみたいと思います。
日常会話レベルまでの金銭的コスト
仮に、自力で学習することなく、英会話レッスンのみでこの700時間に到達するまでに必要な期間と金額を考えてみたいと思います。
ひとくちに英会話レッスンと言っても、さまざまな形式がありますので、種類別に分けて計算してみます。
格安オンライン英会話スクール
格安のオンライン英会話はどんどん増えており、DMMやレアジョブなどのオンライン専門のスクールだけでなく、ECCやイーオンなどの英会話スクール大手も参入していますよね。スクールによってレッスンのシステムや料金形態は様々ですが、大手オンライン英会話スクールでは、25分/毎日で月々6,000円程度が主流のようです。
これをほぼ毎日受けたとして、25分×30日=750分、月に約12.5時間となります。オンラインレッスンのみで700時間にたどり着くには56ヶ月、4年半以上かかる計算になります。56ヶ月の間月々6,000円を支払うとすると、トータルで336,000円ですね。
通学型英会話スクール
グループレッスン
それでは、グループレッスンの英会話スクールの場合はどうなるでしょうか。
スクールによって料金体系や1レッスンの長さは大きく異なりますが、大手4社を総合すると、週1回40分として、およそ10,000円程度の月謝になるようです。700時間を達成しようとすると262.5ヶ月、なんと約22年、レッスン料は2,625,000円に上ります。車が買える!
しかも、グループレッスンですから、自分以外の生徒が喋っている時間も含まれています。英語を喋れるようになりたいが、週に1度のレッスン以外では勉強しないというのはかなり無理があることが分かりますね。
マンツーマンレッスン
マンツーマンレッスンの場合も試算してみます。
こちらもスクールによってレッスン時間や料金が異なりますが、大手5社で一番多い週1回40分とし、平均料金を計算してみたところ、30,000円程度(月4回)となります。1週間あたりのレッスン時間は、グループレッスンと同じですので、700時間を達成しようとすると262.5ヶ月で約22年、レッスン料はなんと、7,875,000円に上ります。高級車が買えてしまいますね。
講師と1対1のレッスンですから、グループレッスンより英語の上達は早いと思いますが、これまた、レッスン以外で自習は全くしないというのはあり得ないということが分かります。
短期集中型
では、最近流行している短期集中型の英会話スクールで計算してみたいと思います。こちらはレッスン以外に毎日3時間程度の宿題が課されるそうです。この宿題以外には自習しないという前提で計算してみたいと思います。
料金プランの主流は、3ヶ月で50万円ほどです。この3ヶ月で宿題を含めておよそ270時間英語を学習していますので、8か月(2.6ターン)受講した時点で達成できることになります。しかし、3ヶ月で50万円のプランですから、1,500,000円が必要になります。(ちなみに、この手の短期集中型スクールがメインターゲットとしている30代の平均年収は手取りで約290万円なので、年収の約半分です。)こちらも軽自動車なら買えてしまいますね。
通学型でダラダラ通うよりはコスパが良いですが、毎日3時間机に向かって勉強するとなると、遊びや睡眠の時間を削らないと確保できませんし、家族の協力も必要となります。
時間とお金が途方もなくかかりますね…。
高いお金を払えば英語学習は続けられる?
英会話スクールだけで日常会話レベルの英語を身に付けるのには、かなりのお金と時間が必要だということが分かりましたが、逆に言えば、お金と時間さえかければ何とかなるということです。しかし一番の問題は継続できるかどうかです。どんな習い事でも同じですが、語学学習も多くの方がビギナーレベルで挫折するか、満足して辞めてしまいます。
期間が短く挫折しにくいであろう短期集中型英会話スクールに関して、以下の記事を見つけました。(2017年に書かれた記事のようです)
president.jp
恐ろしい事実なんですけど、短期集中の高額英会話スクールでも、1/3の人が脱落しているというアンケート結果があります。50万円払ったのに!!(返金制度があるのかもしれません)
もったいない!
一般の英会話スクールの定着率のデータが見つからなかったので比較はできませんが、高いお金を払えば必ずしも退路を断てる訳ではないようです。
そもそも、数ヶ月のハードなトレーニングを選ぶのはどんな方なのでしょうか。「海外赴任や出張が決まった」「昇進の条件に英語力が必須」「就職・転職活動の為にスキルを身につけたい」など、止むに止まれぬ事情のある方が受けているんだと思いきや、目的の第1位は「自己鍛錬」。複数回答可のアンケートなので、たくさんの方が2番目以降の理由として挙げた結果、一番多くなってしまったという可能性はあります。それにしても、スパルタ式そのものを求めて選択した人が半数を越えるということには驚きました。
確かに、日本人は詰め込み教育で育っています。学校で詰め込まれ、学習塾(cram school)で文字通り詰め込まれて勉強しているのです。しかし、社会人になったら、誰も詰め込んでくれません。スキルを磨きたければ、自分で努力するしかないのです。その為、自分を追い込んでくれる場所を求めているのかもしれません。
一般の英会話スクールは、生徒が話しやすくなる空気作りをしていることもあって、褒めて伸ばす方法が中心です。褒められて伸びるタイプの人には向いていますし、長い目で見ればこちらの方が成長に繋がると思います。しかし、追い込まれることがないので、いくらでも自分を甘やかせます。
また、前述の通り、英会話レッスンのみで日常会話レベルの英語力を身に付けることは、現実的ではありません。自分で目標を決め、学習計画を立てるということに慣れていない人には、英会話レッスンを有効活用することが難しいと思います。結果的に、英会話スクールに通い続けているのに伸び悩み、挫折してしまう方が多いのだと思います。
コスパを上げるために独学力を磨こう
どの形式のスクールに通うにせよ、日常会話レベルの英語力を身に付けるには、独学力が必要です。
終了後のアフターケアがついているスクールもあるようですが、短期集中コースの場合、基本は受講期間が終わったら終了です。しかし、語学学習は継続することが必要です。使わないものは必要のない情報として脳が破棄してしまいますから。コースを修了した後は、英語力維持の方法を自分で考え、決めていかなくてはなりません。これができないと、せっかく身に付いた力も0に、とまでは言いませんが、確実に落ちてしまいます。
また、その他の英会話スクールも、格安オンライン英会話は数年、一般の英会話スクールの場合は数十年の間、モチベーションを保ちながら学習を続けなくてはなりませんが、その期間が長ければ長いほど、ダレてしまうと思います。この期間を短縮するためには、レッスンの外でも自力で学習する必要があります。また、自分で勉強したことを英会話の場で試すようにすれば、一回一回のレッスンがぐっと濃い時間になります。さらに、短期集中型と同様、目標達成後の英語力維持のためにも、独学は欠かせません。
自立した学習者になるには
自立した学習者とは、自分で分析し、考え、選択し、自分を律して独学に励むことのできる学習者です。
険しい道に思えますよね?でもまずは、「自立しよう」と思うことが英語力を確実に伸ばす大きな第一歩です!
この一歩を踏み出すかどうかで、その先の英語力の伸びが大きく変わります!
今の時代、ネットを開けば英語学習に関する情報は溢れていますし、書店の語学コーナーには圧倒されるほどの種類のテキストがあります。無料で利用できる語学学習サイトやフリーのアプリもたくさんあります。英語学習のしやすい環境が整っているいるんです。
つまり、自分でゴールを定め、自分の弱点を分析して、適切な学習法を見極め、必要な教材を選び取れば、独学でも英語力は高められます!…とはいえ、情報に溢れすぎていて逆に難しいんですよね。
膨大な情報を前に困り果てている方ににまずオススメしたいのは、英語上達完全マップです。もう10年以上前の本ですが、今でも英語学習の道しるべとなってくれると思います。
英語上達完全マップ―初級からTOEIC900点レベルまでの効果的勉強法
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ただし、万人に効果的な学習法はありません。自分には合わないと思ったら、アレンジしたり、やめたりする勇気も必要です。
また、英会話サークルや国際交流イベントには、英語学習の先輩がたくさんいます。皆さんそれぞれに苦労して語学を身に付けているので、勉強法などの相談に乗ってくださる方が多いです。わたしも、いろんな方にいただいたアドバイスを元に、試行錯誤を重ねてきました。そういった場に積極的に出掛けて、頼れる仲間を見つけることも大事だと思います。
モチベーションが下がってしまった時に試して欲しい10のことはこちら。
まとめ
今はまだ、英語ができれば年収が変わると言われている時代です。自己投資したお金は回収できる可能性があります。それにしても、スクール任せで”日常会話レベル”の英語を習得しようとすると、かなりの金額と時間をつぎ込まねばならないということが分かりました。
先のリンクの記事内のアンケート結果において、値ごろ感も調査されていました。満足度と値ごろ感が一致しているスクールもありますが、レッスンには満足していても、レッスン料は高いと感じている方が多いようです。契約前は50万円払ってでも手に入れたいと思っていたTOEICのスコアや英会話力。いざ手に入れてみると「あれ、こんなもんか」と感じてしまうのではないでしょうか。どんなにトレーナー が一緒に頑張ってくれると言ったって、最終的に努力するのは自分ですしね。
とはいえ、オンラインであれ対面であれ、上手に活用すれば、英会話スクールは実践的に英語を学べるいい場所だと思います。「飲みに行って友だちを作ればいい」という方もいますが、それがなかなかできない生活環境だってありますし、つたない英語に根気よく付き合ってくれるのは、気の合う友人が見つかった時くらいです。ですので、それを英語学習のメインに据えるのは、かなり厳しいと思います。自分の性格や生活リズムに合わせて、英会話と自主学習を組み合わせるのがおススメです。
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Never do things by halves. :物事は中途半端でやめるな