こんにちは。
今日はハロウィン当日!ということで、最近読んだ洋書『Wonder』をご紹介します。 ハロウィンのお話ではありませんが、ハロウィンの日に起こった出来事がとても心に刺さる一作です。
2018年の初夏に日本でも『ワンダー/君は太陽』の邦題で映画版が公開されました。ジュリア・ロバーツ主演。お父さんお母さんに手をひかれて歩くヘルメットを被った子どものビジュアルは、記憶に残っている方も多いのでは?
『Wonder』あらすじ
映画版のWikipediaより
オーガスト(オギー)・プルマンはトリーチャーコリンズ症候群が原因で顔の形が変形しており、長らく入退院を繰り返していた。容態が安定したオギーは学校に通うようになるが、クラスメートたちの差別によるいじめを受けふさぎこんでしまう。オギーは自分の顔が普通ではないことを嘆いたが、両親の励ましを受け立ち直り、学校生活に適応するため、家族に支えられながら懸命に行動を起こす。
あらすじだけ読むとなんだが小難しい話のように見えますが、児童書なのですっと心に入ってきます。そして、子どもたちが葛藤し成長していく姿に胸を打たれます。フィクションですが、実際に目の当たりにした出来事に着想を得て書かれており、作者の方の思いが溢れた小説です。
オギーを主軸に、彼をとりまく友人、同級生、姉など様々な視点で物語が進みます。最初はオギーの目線で描かれているので、彼に辛くあたるクラスメートたちにいつの間にか腹を立ててしまったり、憎く思ってしまったりしてしまうのですが、読み進めていくと、それぞれに悩みや苦しみ、戸惑いを抱えながらオギーと関わっていることが分かってきます。わたしも物事の一面しか見えていない、ある種の偏見を持った人間であることを思い知らされました。温かいラストに涙が止まらなくなる、そんな一冊です。
英語のレベル
ネイティブの小・中学生向けの本なので、英検準2級~2級くらいでしょうか。洋書リーディングに少し慣れてきたくらいの方に丁度いいと思います。
私は準1級を取った後に読みましたが、ストレスなく読めるレベルでした。それでもたまに、知らない単語が出てきます。会話が多いので、こなれた表現に最初は戸惑うかもしれません。しかし慣れてしまえば一気に読めます。
大人が読んでも読み応えのある本ですが、学生さんたちには特におススメです。高校・大学生であれば、原作に挑戦してみてはいかがでしょうか?
イチ押しポイント
単純に小説として面白いことはもちろんですが、洋書多読の一冊としておススメしたい理由があります。
まず第一に、各章がとても短いこと。おかげで洋書慣れしていない方でも非常に読みやすいと思います。語り手が次々変わる構成により、ストーリーもどんどん展開していくので、気付いたらあっという間に読み終わっています。
さらに、話の筋が分かりやすいので、多少知らない単語があっても意味を推測しやすいということも、おススメポイントの一つです。気にせず読み飛ばすこともできるので、英語で読んでいるということを忘れて物語に没頭できますよ。
そして何より、心を動かされるストーリーであること。フィクションなので理想論な部分もありますが、そんなことは気にならないくらい魅力的な登場人物たちに引き込まれていきます。英語で読んで深い感動を得られたという読書体験は、英語学習に刺激と達成感を与えてくれます。
Wonderの世界を深く味わいたい人のための続編
この小説には続編があります。作者の方は当初続編を書く気はなかったそうなのですが、Wonderが大きな話題となり、全米で「(いじめっ子の)ジュリアンになるな!」というムーブメントが起こってしまったことに違和感を感じ、書くことにしたそうです。それが、このAuggie&Meです。 ジュリアンと、Wonderでは中心となることがなかった二人を合わせた三人の目線で描かれた、もう一つのWonderです。
Auggie & Me: Three Wonder Stories
- 作者: R J Palacio
- 出版社/メーカー: Corgi Childrens
- 発売日: 2015/08/27
- メディア: ペーパーバック
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もちろんいじめはいけないことです。しかしその裏側で、いじめてしまった側の子どもも、自分を取り巻く環境の変化に悩み、苦しみ、もがいている。そこに寄り添わず、盲目的に「お前は悪いやつだ!」と言うのも、ある種のいじめではないか。そんなことを深く考えさせられました。
他にも、劇中に出てくるブラウン先生の授業の格言集も発売されています。このブラウン先生がまた素敵な先生なんです。こちらはまだ未読なので、今後ゆっくり読んでみたいなぁと思っています。
365 Days of Wonder: Mr. Browne's Book of Precepts
- 作者: R. J. Palacio
- 出版社/メーカー: Knopf Books for Young Readers
- 発売日: 2014/08/26
- メディア: ペーパーバック
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子どもと一緒にwonderの世界について考えるにはこちらも。
- 作者: R. J. Palacio
- 出版社/メーカー: Knopf Books for Young Readers
- 発売日: 2017/03/28
- メディア: ペーパーバック
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日本語訳版『ワンダー』
それでも英語で読むのはハードルが高い!という方もいらっしゃると思います。小説として素晴らしいので、英語を理由に読まないのはもったいないです!!
ですので一応、日本語版のリンクも貼っておきます。
きみの心、きっとふるえる。Wonderワンダー(全2巻セット)
- 作者: R.J.パラシオ,中井はるの
- 出版社/メーカー: ほるぷ出版
- 発売日: 2018/04/01
- メディア: 単行本
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また、洋書多読には、辞書機能が入ってスラスラ読める、しかも洋書がすぐに、お得に買えるKindleペーパーがオススメです。
アメリカはもちろん、日本でも年々盛り上がっているハロウィン。楽しいイベントの陰で葛藤する子どもたちが、わたしの身近にもいるかもしれない。そんなことも思いつつ、今日一日を過ごしたいと思います。
Today's proverb
Adversity makes a man wise. :逆境が人を賢くする