こんにちは。
長らく続いた英検1級対策記事も最後となりました。今回は英検1級総合対策編です。
別記事でもご報告しておりますが、私、2019年度第2回の実用英語技能検定1級に合格しました!
1年程前にTOEIC L&Rで955を取っていたため、英語力としては英検1級を目指すことができるレベルにあったのですが、英検準1級合格からまだ2年。初受験ということもあって、不安が大きく、かなり必死に勉強しました。
その結果、総合CSEスコア3009で余裕の合格を果たすことができました!CSE3000超えとしてはギリギリのスコア(素点であと1点落としていたら到達不可でした…)ではありますが、英検1級初挑戦としては満足のいく結果となりました。
そこで今日は、合格のその先、英検1級をCSE3000超えで一発合格するまでの学習方法を、まとめてご紹介します。
英検1級の試験内容
既に把握されている方もいらっしゃるかと思いますが、改めて英検1級の試験内容をおさらいしておきたいと思います。
英検の公式サイトによると、英検1級は以下の構成になっています。
一次試験
形式
筆記(100分)/リスニング(約35分)
内容
リーディング
短文・会話文の語句空所補充:文脈に合う適切な語句を補う。 (25問)
長文( 説明文・評論文)の語句空所補充:パッセージの空所に文脈に合う適切な語句を補う。(6問)
長文の内容一致選択:パッセージの内容に関する質問に答える。(10問)
ライティング
英作文:指定されたトピックについての英作文を書く。(1問)
リスニング
会話の内容一致選択:会話の内容に関する質問に答える。(10問)
文(説明文など)の内容一致選択:パッセージの内容に関する質問に答える。(10問)
Real-Life形式(アナウンスなど)の内容一致選択:Real-Life 形式の放送内容に関する質問に答える。(5問)
インタビューの内容一致選択:インタビューの内容に関する質問に答える。(2問)
主な場面・題材
場面・状況:家庭、学校、職場、地域(各種店舗・公共施設を含む)、電話、アナウンス、講義など
話題:社会生活一般、芸術、文化、歴史、教育、科学、自然・環境、医療、テクノロジー、ビジネス、政治など
二次試験
形式
英語での面接(約10分)、個人面接、面接委員2人
スピーチ・応答の内容、語い、文法、発音の正確さなどの観点で評価
内容
スピーキング
自由会話:面接委員と簡単な日常会話を行う。
スピーチ:与えられた5つのトピックの中から1つ選び、スピーチを行う。(2分間)
Q&A:スピーチの内容やトピックに関連した質問に答える。
主な場面・題材
社会性の高い幅広い分野の話題
過去の出題例:科学の発展は常に有益か、芸術への財政的支援増加の是非、世界経済における日本の役割、選挙権の行使を義務化するべきか、遺伝子組み換え食品の安全性、公共の場における治安改善の必要性
特にライティングやスピーキングに関しては、英語の知識や能力だけでなく、英語で意見を発信するための基礎知識まで求められるテストになっています。
英検1級に求められるレベル
日本の団体や企業が開催している英語試験では最難関に位置づけされている英検1級。まずは、実際にはどのくらいのレベルなのかを押さえておきましょう。
日本英語検定協会の公式サイトによると、英検1級の審査基準は以下となっています。
程度
広く社会生活で求められる英語を十分理解し、また使用することができる。審査領域
読む:社会性の高い幅広い分野の文章を理解することができる。
聞く:社会性の高い幅広い内容を理解することができる。
話す:社会性の高い幅広い話題についてやりとりすることができる。
書く:社会性の高い幅広い話題についてまとまりのある文章を書くことができる。目安:大学上級程度
二次試験では2分間のスピーチと、その内容への質問がなされます。
カギは英語の知識のみでなく、相手に伝える発信力と対応力。
世界で活躍できる人材の英語力を証明します。
"世界で活躍できる人材の英語力"と表されているように、国内での英語学習のひとつのゴールであり、世界で通用する英語力への出発点でもあります。
また英検1級は、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages)のC1レベルに対応するとされています。ブリティッシュカウンシルによると、C1レベルでは以下の通りの英語力を持つことが期待されています。
熟達した言語使用者
いろいろな種類の高度な内容のかなり長い文章を理解して、含意を把握できる。言葉を探しているという印象を与えずに、流暢に、また自然に自己表現ができる。社会生活を営むため、また学問上や職業上の目的で、言葉を柔軟かつ効果的に用いることができる。複雑な話題について明確で、しっかりとした構成の詳細な文章を作ることができる。
英検協会が1級に求めるレベルより高く感じませんか?しかし、必要以上に恐れる必要はありません。
というのも、こちらの英検公式サイトにあるように、CEFRのC1に対応するCSEスコアは2600〜3300。英検1級合格ラインがCSE2630なので、英検1級に合格するにはC1レベルの中では下の方のレベルで良いということになるんです。
それならちょっと安心しますよね。
余談ですが、1級の満点はCES3400で、C2に対応するはずなですが、便宜上C1扱いとされています。公式サイトによるとこれは、"英検1級のCSEスコアの精度が保証されているのがB2〜C1に相当する2304〜3299の範囲だから"だそうです。
うーん、あんまり納得がいかない…。
CSEスコア3000のレベル
さて、ではなぜCSE3000が英検1級合格のその先を目指す人たちの目標となるのでしょうか?
既にお気づきかもしれませんが、これ、英検準1級の満点スコアなんですね。しかし、素点でおよそ7割(CSEスコアで8割)の得点を取れば準1級に合格できるので、実際に満点を取る方はなかなかいません。そして、CSE3000より上となると、準1級には存在しません。つまり、英検1級でしか達成し得ないスコアなんです。
また、最終的に発表される成績で、都道府県別の順位が%で出るのですが、CSEで3000を超えると、受験者の上位1%、少なくとも2%くらいにランクされます(わたしは愛知県で2%でした)。そのくらい、1級受験者の中でもごく少数の人しか達成できないんです。
しかも、CSE3000はCFERでC1ど真ん中!堂々と「わたしの英語力はC1レベルです!」と言えるスコアなんです。
ただし英検は、海外に住んだりビジネスをしたりする上での実用能力を測る目的としては弱い試験なので、自信を持ってC1レベルと言えるかはテスト外での能力次第ではあります…。
ちなみに、満点のCSEスコアが3400、ギリギリ合格が、2028(一次試験) + 602(二次試験) = 2630ですから、CSEスコア3000超えというのは、満点とギリギリのおおよそ半分ということになります。
3000を超えてもまだ先が目指せる、奥の深い試験なんです。
ちなみに、2016年度からスコア換算が変わり、それ以前に比べてCSE3000の達成が難しくなっているようです。2015年度以前に英検1級に合格されている方は、ネットなどの情報を元に、今のスコア換算で自分の立ち位置を確認し直すことをおすすめします。
CSE3000を超えるためのスコア戦略
では実際にCSEスコアで3000を超えるためには各技能でどの程度のスコアを取ればいいのでしょうか?
単純に計算すると、3000 ÷ 4 = 750なので、各技能750を取れれば大丈夫ということになります。850が満点ですので、およそ88%のスコアですね。
しかし、これを素点とのスコア換算で見てみると、かなり複雑な話になります。
下記の二つのサイトから、CSE750に相当する素点を見てみます。
素点とCSEの関係は試験の難易度などによって変わるので、あくまで参考値ですが、一次試験はおよそ以下の素点がCSE750付近となります。
- リーディング:38/41(93%)
- リスニング:25/27(93%)
- ライティング:27/32(84%)
パートによって得点率が大きく異なることが分かりますよね。
上記リンクのひとつ目のサイトのグラフを見ていただければ分かりやすいのですが、ライティングは素点とCSEスコアが綺麗に比例しているのに対し、リーディングとリスニングは、満点付近になると、素点1点の格差が激しくなります。
二次試験は高得点者が少ないのか、参考にできるデータがほとんど見つかりませんでした。しかし、39で704という情報を見かけたので、CSE750を超えるには、
- スピーキング:40/40(100%)
ということになります。スピーキングは38/40でも600点台になってしまうようなので、ほぼ満点でないと750付近にすら到達できません。さらに英検1級の二次試験で満点という方は、ざっと検索した限りほとんど見つかりません。それだけ、スピーキングで満点を目指すのはかなり厳しいということだと思います。
つまり、スピーキングで大きく欠けてしまうCSEスコアを、一次試験で稼いでおかないと、トータル3000には到達できないということになります。
では、それをどのパートで稼げばいいのでしょうか。個々の得意、不得意によると思いますが、
- 机に向かって英語を勉強してきた方
リーディングかリスニングで満点を目指す - アウトプット中心で鍛えてきた方
ライティングで高得点(CSE800以上)を目指し、スピーキングでも限りなく高得点を目指す
の戦略がおすすめです。4技能トータルでバランス良く高得点をとりつつ、どれか1つで満点を取ると、 CSE3000超えがぐっと近付きます。
一般的に簡単なのはライティングを伸ばす方法かもしれません。なぜなら、上でも述べた通り、ライティングは満点近くでのCSEスコア差が大きくない為、素点が素直にスコアに反映されるからです。その為、満点でなくてもCSEスコアを大きく稼ぐことが可能です。また、ライティング対策は二次試験対策にも直結するため、二次試験での失点を最小限に食い止めることができます。
しかし、留学経験がなく、英会話レッスンよりも机に向かって地道に学習を積み重ねてきた方にとっては、ライティングやスピーキングで高得点を狙うのは時間がかかる作戦かと思います。
また、トピックを選べないので、苦手なジャンルに当たってしまった場合、英語力があっても、説得力のあるエッセイを書けない可能性があります。さらには、2019年度よりAIが採用されているライティングの採点自体ブラックボックスです。同じ方が連続で受験されても上がり下がりがあるようなので、安定して高得点を取れるパートかというと疑問が残ります。
個人的には、リーディングかリスニング(できればその両方)で満点を狙い、ライティングとスピーキングはできるだけ高得点を目指す、という作戦が近道だと思います。
わたしのスコア内訳
さてここで、私が実際に私がどのような得点で、CSE3000超えを達成したのかをご紹介致します。
一次試験
- リーディング:41/41(100%,CSE850)
- リスニング:25/27(93%,CSE763)
- ライティング:25/32(78%,CSE725)
二次試験
- スピーキング:35/40(88%,CSE671)
総合
わたしの場合は、
- リーディングで満点が取れた
- リスニングの失点を素点で2点に抑えられた
- ライティングがそこそこ取れた
- スピーキングで比較的高得点が取れた
という条件により、CSE3000を達成することができました。
しかしかなりギリギリでのなので、自信を持って「CSE3000を超える英語力があります」とは言えません。私が受験した回は、全体的にCSEスコアが素点に対して高めにでていましたし、消去法で選んだ問題が1問でも外れていたら3000には到達できなかったと思います。
本当にラッキーでした!
若干ネガティブなことを書いてしまいましたが、3000超えは3000超え。英検合格ラインに対して余裕をもって合格できたことには変わりはありません。この記事が英検1級で高得点合格を目指している方の参考になればと思います。
CSE3000超えで英検1級を一発合格するまでの道のり
では実際に私が英検1級のために行った対策をご紹介いたします。
そもそも受験する上で、最初は「ギリギリでも合格すれば…」と思っていたので、戦略的に3000オーバーを達成したわけではありませんでした。本格的な試験対策を始めて過去問を解いてみた時に、「あれ?もしかしていけるかも…?」と思ったのです。そのため、スロースタート+直前詰め込みの学習プランになっています。
対策開始前の英語力
まず前提として、わたしが英検1級対策を始めた時の英語力を書き記しておきたいと思います。学習法と合わせて参考にしていただければと思います。
- 1年前に英検準1級合格(GP1+2 / GP1+4)
- TOEIC L&Rで955達成
- 英語を話すのは週に1回の英会話教室(グループレッスン)
- 仕事やプライベートで英語を使うことはない
英検1級を目指す方の中には、TOEIC900前後の方が多いようですので、試験対策を始めた段階で、リーディングとリスニングに関しては比較的余裕があったと思います。
試験対策のタイムライン
1年前
語彙パート対策開始
メインとなる単語帳(英検1級単熟語EX)を使用して、単語&熟語をコツコツ暗記
英語の基礎力を上げる
4技能でバランス良く高得点を取るために、海外ドラマ鑑賞(フレンズ全話視聴)や英会話スクールなどでインプットとアウトプットのトレーニングを繰り返す
半年前
語彙パート対策増強&リスニング・リーディング対策開始
文脈で覚えるタイプの単語帳(速読速聴・ADVACED、英検1級文で覚える単熟語)を追加し、聴く・読むも合わせて単語&熟語を増強
一次試験1ヶ月半前
受験申し込み
メインの単語帳ほ半分くらいを覚えられたところで受験申し込み
本格的な対策開始
対策本を使って、英検一次試験の傾向と問題を解くコツを学ぶ
語彙の定着率をアップ
単語&熟語の定着率を上げるため、隙間時間を有効活用できる単語帳(キクタン英検1級)を追加
ライティング対策開始
対策本(英作文問題完全制覇)を使い、英作文で確実に点を取るためのコツを掴む
過去問で時間の感覚、体力・精神力を養う
週末に1回分通しで過去問を解いて時間の感覚を掴むとともに、試験本番に向けて体力と精神力を身に付ける
一次試験1ヶ月前
過去問を解き随時軌道修正
過去問を解きながら、随時学習計画を軌道修正
得点源にしたい長文問題の精度を高めるため、アカデミックな英文の載った教材(テーマ別英単語ACADEMICシリーズ)を投入
語彙力総仕上げ
マジタンやweblioなどのアプリを併用し、語彙力を即座に意味が分かるレベルまで引き上げるとともに、英検1級レベルの英単語の取りこぼしをカバーする
エッセイを書き慣れる
参考書(英作文問題完全制覇)の練習問題から1日1題時間を測りながらエッセイを書いて、模範解答と比較し、説得力のあるライティングを規定時間内に書き上げられる力をつける
一次試験前日
体調第一
試験前日はこれまでの復習や心配な箇所の確認に留め、早めに就寝
一次試験本番
とにかく全力で
直前まで単語帳を確認し、試験でも全力を尽くす
一次試験終了後
スピーキング試験の形式を知る
二次試験用参考書(英検1級 面接大特訓)を熟読し、理想的なスピーチの型やQ&Aの捌き方を学ぶ
背景知識を詰め込む
討論用の参考書(英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現)を買い、自分の意見をバックアップする具体例などの背景知識を頭に入れる
一次試験結果発表後
録音しながらスピーチ練習をする
参考書(英作文問題完全制覇)の練習問題を毎日10個ずつ録音しながらスピーチし、一人反省会を行う
ネイティブチェックを受ける
ネイティブ講師にスピーチに対するダメ出しをもらいつつ、誰かに向けてスピーチをする練習を重ねる
※わたしが学習アドバイザーを担当しているInspire Englishでも、英検対策コースを開講しています
二次試験本番
万全のコンディションで挑む
自宅はかなり余裕を持って出発し、会場近くのカフェで重要語句やフレーズの確認
受付順に試験を受けるので、自分の好みのタイミングで受付の列に並び、控室ではのど飴を舐めながら引き続きメモ帳を眺めて過ごす
一次試験対策
それでは、もう少し具体的な一次試験対策をお話ししたいと思います。
一次試験、特にリーディングとリスニングはマークシート形式なので、過去問などから得点の予想がしやすく、自分の弱点を把握して適切に対策していくことで、着実に得点を伸ばしていくことができると思います。
私は、対策問題集の模擬試験1回分と過去問6回分を解きながら、弱い部分を補強していきましたが、以下のグラフが示す通り、素点レベルでは順調に得点を伸ばせています。
停滞期もやってくると思いますが、めげずに努力を重ねることで高得点を目指せるという点では、英検1級はモチベーションをキープしやすい試験だと思います。
使用した教材
- DAILY30日間 英検1級集中ゼミ 新試験対応版
- 出る順で最短合格! 英検1級単熟語 EX
- キクタン英検(R)1級 キクタン英検シリーズ
- 英検1級 文で覚える単熟語
- 速読速聴・英単語 Advanced 1100
- テーマ別英単語 ACADEMIC [初級]
- テーマ別英単語 ACADEMIC [中級] 01人文・社会科学編
- テーマ別英単語 ACADEMIC [中級] 02 自然科学編
- テーマ別英単語 ACADEMIC [上級] 01 人文・社会科学編
- テーマ別英単語 ACADEMIC [上級] 02 自然科学編
- 最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇
- 1級の過去問・対策 | 英検 | 公益財団法人 日本英語検定協会
- 「最後の英単語学習!マジタン」をApp Storeで
- 英語の語彙力の測定テスト~英単語のボキャブラリーレベル計測試験~ - Weblio
リーディング対策法
まずはリーディングです。ご存知の方も多いと思いますが、英検1級のリーディングパートはかなりハードです。しっかり対策しないと足を引っ張ることになると思います。逆に、しっかり対策をすれば確実に点の取れるパートでもあります。
まず、語彙パート。英検は語彙ゲーと言われたりしますが、リーディングの中で語彙パートの比重が大きくレベルも高いです。一般的には1,2000語前後の語彙力があれば十分合格できるとされていますが、満点近くを狙うのであれば1,5000語程度を目指すことをお勧めします。
英検1級の単語帳として有名なのはパス単や単熟語EXですが、満点を狙うためには一つの単語帳では足りません。なぜなら、近年これらの単語帳のカバー率が落ちているようなのです。そのため、複数の単語帳もしくはアプリなどを併用することをおすすめします。いくつか併用することにより、訳語を複数覚えることができ、単語の意味を多角的に捉えることができるというメリットもあります。さらに、隙間時間を有効活用することもできるので、単語を覚える効率がぐっと上がります。
最近カバー率が高いと人気なのは、でた単アプリですね。
長文に関しては、質の高いアカデミックな英文をたくさん読むことが大切です。TOEIC に比べると、英検は比較的時間に余裕があると思いがちですが、案外厳しいです。また、さっと流れと概要を掴み、大切なところを的確に読み取る力、つまり速読力と精読力がともに求められるのが英検のリーディングです。
それをクリアするためには、ネイティブ向けに書かれた生の英文にたくさん触れることが大切です。教材として書かれたものは、語彙のレベルは高くとも、比較的平易で簡潔なため、読みやすくなっています。しかし、英検の長文パートに出てくる英文は、その範疇を超えています。
対策として、TIMEやTHE ECONOMISTなどの英語雑誌を読むという方法もあると思いますが、英検1級のリーディング満点を目指すにあたり、それらを読みこなす必要はありません。それよりも、正確に読み取るトレーニングが必要だと思います。
そのため私は、試験と同等のレベルの英文が収録されていて日本語訳も付いている教材を選びました。それが、速読速聴・英単語ADVANCEDと、テーマ別英単語ACADEMICシリーズです。これらにはCDもついているので、リスニングのトレーニングにもなりますし、英語学習者として押さえておくべき語彙も解説されているので、英検1級対策として効率よく学べる教材だと思います。
リーディングパート対策の詳細は、こちらの記事をご覧ください。
ライティング対策法
先に述べた通り、ライティングは比較的CSEで高得点を狙いやすいパートです。
しかし、英文エッセイの書き方学んだことのある方は少ないのではないでしょうか。というか、そもそも日本語でもエッセイの書き方って勉強する機会ってないですよね。そのため、英検でいきなりライティングに挑むのはなかなか高いハードルなのです。
しかし、英検のエッセイにはパターンがありますので、対策本などを使ってエッセイの形式を学び、書く練習を繰り返せば、確実に点を取ることができます。
そのため、対策をした人としない人との差がはっきりと出やすいパートでもあると思います。
ライティング対策をする上で障害になるのは、以下の4点かと思います。
- アウトプットの訓練が足りていない
- 英語を書くという練習をしていない
- 英文エッセイの基本の型を知らない
- 背景知識が足りない
まず1つ目。仕事などで英語を使うがなく、英会話レッスンなども受けずにコツコツ机に向かって勉強を続けてきた方の場合は、アウトプットの絶対量が足りていないことが多いです。その場合は、二次試験でも苦しむことになるので、オンライン英会話スクールなどをうまく活用して、アウトプット力を鍛えることをおすすめします。
2つ目に、日頃スマホやパソコンを使わずに手で英語を書いていますか?英語のメールや資料などを日常的に書いている方でも、手書きで英文を書くことをやっている方って、案外少ないのではないでしょうか。しかし、英検のライティングは手書きです。予測変換もスペルチェックもありません。全て自分でチェックしなくてはならないのです。これ結構要注意です。漢字と同じで、読めるし聞き取れるけど、スペルに自信のない単語って結構あるもんなんですよね。特に試験となると、緊張で簡単なものまで不安になってしまいます。ですので、試験までの間はパソコンなどを使わず、手でエッセイを書く練習をしてください。本番と同じ形式の解答用紙もネットにあるので、プリントアウトして使っておくと、試験本番で単語数を数えなくても、およその分量が分かるようになるのでおすすめです。書く時は、時間を測ることもお忘れなく。
3つ目は、そもそもエッセイの型が分からないというパターンです。特に、英検のライティングには一定の型があり、それに従って書くことである程度安定した得点を取りやすくなります。また、日本のエッセイは、漠然としたものを含みを持たせて書くこともありですが、英語の場合は自分の立場と意見をはっきりさせなくてはいけません。また、具体例などを挙げながら、説得力のある主張をすることが求められます。具体的にどのような主張を、どのように展開すればいいのかは、対策本から学ぶのが手っ取り早いと思います。模範解答を暗記する必要はありません。論理的な文章構成とはどんなものなのか、そのエッセンスをどんどん学んでいってください。
4つ目は、背景知識の問題です。英検1級のライティングは、社会問題に対し根拠を挙げながら自分の意見を主張しなくてはなりません。この根拠に関してですが、数値等はある程度ハッタリでも構わないですし、自分の経験を交えても問題ありません。しかし、説得力のある主張をしようとすると、背景知識は多いに越したことはありません。
これらの点を踏まえ、
- 英検のライティングの型を学べる
- ライティングのトピックになりやすい事柄のその背景知識が分かる
を同時に叶える参考書を使って対策をするのが有効だと思います。
上でご紹介した、
は、ライティングでも役立つ知識がふんだんに含まれており、英作文問題完全制覇より若干レベルが高いです。どのみちスピーキング対策の為に買うのであれば、早目に入手した方が得策だと思います。
わたしは準1級の時に、ライティングの対策をほとんどしていなかったためかなり自信がなく、試験前の1ヶ月間は毎日エッセイを書きました。結果的に合格者平均程度は取れたのですが、さらに高得点を狙うのであれば、二次試験用の参考書を一次試験の段階から使っておけばよかったと後悔しています。
ライティング対策の詳細はこちらをご覧ください。
リスニング対策法
CSE3000越えを目指すのであれば満点を狙いたいリスニング。語彙パートに苦しめられるリーディングに比べて、比較的満点を取りやすいパートかと思います。
英検1級のリーディングで障害となるのは、主に、
- そこそこの長さのアカデミックな英文を聞いて理解して、質問に答えなくてはならない
- たまに口語表現が出てくる
- 最後のインタビューが、言い淀みなどによって聞き取りづらい
の3点かと思います。
まず、1に関しては、とにかくトレーニングが必要だと思います。TOEICなどと違いメモが許されている英検ですが、丁寧にメモを取っていると肝心なところを聞き逃す可能性があります。また、重箱の隅をつつくような問題は出てこないので、結局覚えた方が確実かと思います。しかし、覚えられる量には限界がありますよね。そのため正解率を上げるには、過去問などで問題を先読みするペースを掴み、先読みした中で聞き取らなくてはならないポイント素早く見つける練習が必要になります。
2に関して、口語表現が問題に絡むことはほぼありません。しかし、分からない表現に引っかかっていると、肝心なところを聞き逃してしまいます。海外ドラマや映画、Podcastなどで、ナチュラルな英語表現に馴染みつつ、仮に知らないフレーズが出てきても気にしない精神力を養ってください。リスニングは、気持ちが乱れるとあっという間にスコアも乱れます。
3にも結構苦戦する方が多いのではないでしょうか。テストなのでナレーターさんによる演技なのですが、早口だったり、逆にゆっくりだったりと、キャラクター濃い目のインタビューになっています。早いと聞きそびれるし、ゆっくりだとポイントが掴みにくいしで聞き取りにくい上に、言い淀みもあるのでますます聞き取りづらくなっています。教材音声やドラマなどでスラスラと話すものばかりを聞いていると、戸惑うパートですね。YouTubeなどで、有名人のインタビューをたくさん聞くなどして、リアルな喋りを聞き取る訓練を重ねることが有効だと思います。
わたしは英検1級合格後から始めたのですが、CNN English ExpressやEnglish journalなど、リアルな英語で時事英語を学ぶ系の英語リスニング雑誌もおすすめです。語彙力もアップできますしね。
リスニング対策に関する詳しい情報はこちらをご覧ください。
二次試験対策
一次試験前は、「二次試験までの1ヶ月はスピーキングだけに集中すればいいんだから余裕でしょ。」と思っていたりするもんですが、一次試験が終わって改めて二次試験について調べ始めると、「これは…ヤバイ…」とその壁の高さに慄きます。特に、日頃英語を話す環境に身を置いていない人には、かなり高い壁になると思います。
さらに、満点付近でのCSEスコアの差が激しいため、スピーキングで満点近くを狙うのは至難の技です。
わたしは一次試験で予想外にCSEスコアが取れたので、「ひょっとしたら3000overいけるかも…」なんて欲を出した訳ですが、実際にスピーチの練習を始めて、かなり落ち込みました。2分のうちの1分くらいは「あー、…うーん」しか言ってなかったですからね。
しかし猛特訓の末、比較的高得点で突破することができました!わたしのように、海外滞在経験や英語を使う仕事の経験がなくても、確実に対策を積み重ねていけば高得点合格を目指せるパートだと思います。
数値で成果の見えないスピーキング練習は苦しいものですが、諦めずに粘ってください。
使用した教材
スピーキング対策法
英検1級のスピーキングに求められる能力は以下の3点です。
- 英語で発信する力
- 社会問題に関する知識
- 論理的に主張する力
基本的にはライティングと同じなのですが、問題は、考える時間がほとんどないということ。与えられた課題に素早く対応しなくてはなりません。
まずは1つ目の英語で発信する力。これに関しては、とにかく練習あるのみだと思います。わたしは、隙あらば脳内で、もしくは声を出して自分の意見を英語で話すようにしていました。ニュースのトピックに対して英語で意見するのもいい練習になると思います。英検1級 面接大特訓、
最短合格! 英検1級 英作文問題完全制覇などの対策本を参考にしながら、自分の意見をまとめつつスムーズに話す練習を重ねることで、試験本番でも落ち着いてスピーチや質疑応答に対応できるようになると思います。
また、話すだけではなかなか成長が感じられないことがあります。話すという訓練は形に残らず、録音しない限り自分で確認する方法がないので、同じ表現ばかりを繰り返し使ってしまいがちになるからです。行き詰まりを感じたら書き出してみるのも良いと思います。試験当日に確認するネタ帳にもなりますしね。辞書や参考書、ネットなどで調べながら、表現の幅を広げられるようにネタ集めしてみてください。わたしは面接大特訓の各トピックに対して、Agree/Disagreeと根拠2つを、箇条書きで簡単に書き出しました。
日頃英語を話す機会がない方は、試験前だけ英会話レッスンを活用することもおすすめです。独り言でも練習はできますが、やはり人相手に話すのとは違いますしね。特に、ネイティブスピーカーと話しておくことで、本番の緊張感がかなり緩和されると思います。
2つ目の背景知識に関しては、日頃から蓄積しておくのが理想です。しかし、トピックは5つからひとつ選べるとはいえそのジャンルは幅広く、捻られたものも多いです。1分で説得力のあるスピーチを組み立てるのはなかなかハードです。また、自分の経験のみを根拠にしようにも、個人で経験できる範囲は限られています。そこで、
- ニュースを見る、読む
- 本を読む
- ドキュメンタリーを見る
- TED talksを聞く
- 参考書を読む
などの方法で見識を広げ、自分自身の意見をまとめておく必要があります。網羅性と効率を考えると、上記でもご紹介した英語で経済・政治・社会を討論する技術と表現がおすすめです。英検で狙われやすいトピックが簡潔にまとまっている上に、背景知識もしっかり頭に入れることができます。丸暗記する必要はありませんので、自分の考えにフィットするもののみ、そのエッセンスを取り入れる感じで活用してみてください。
3つ目に関しては、自分で自分の主張を客観的に判断するのは難しいと思います。自分では論理的だと思っていても、相手にはあまり伝わっていないということは、日本語であってもよくありますからね。ですので、誰かに聞いてもらうというこが大切だと思います。また、日本語はハイコンテクスト文化の言語なので、"多くを語らずとも理解してもらえる"ということが当たり前になっていますが、英語圏はそうではありません。できればネイティブスピーカーにお願いをして聞いてもらってみてください。すでに十分説明したと思っているのに、「つまりどういうこと?」と聞かれることがたくさんあると思います。
ついでに、スピーキング練習は孤独感を感じやすいトレーニングです。特に英検1級を受ける人、受けたことのある仲間は、身近になかなか見つからないと思います。わたしはTwitterなどのSNSで不安などを投稿した結果、励まし合える仲間が見つかりました。SNSをうまく活用して、孤独感を乗り切ってください。苦労が多い分、二次試験突破時の達成感はひとしおです。
スピーキング対策に関する詳細はこちらの記事をご覧ください。
わたしが学習アドバイスを担当しているInspire Englishのサイトで、英検1級二次徹底対策法を公開しています。スピーキングを苦手としながらも、素点39点という素晴らしい成績で二次試験合格を掴み取ったスタッフの体験を元に書かれています。座学中心で英語学習を進めてきた方、二次試験突破に苦戦されている方はぜひ読んでみてください!
まとめ
長くなってしまいましたが、私が英検1級でCSE3000を超えるまでに行った学習法と意識していたポイントのご紹介でした。「当たり前のことばかりじゃん!」と思ったあなた、正解です。CSE3000は、当たり前のことを積み重ねた先にあるのです。
自分の苦手分野を潰すのは苦しい作業ですし、目を背けたくもなります。しかし、逃げてばかりいては到達できないのです。
ただ私も3000超えたとはいえ、CSEがもう少し低く出ていたら、もしくは素点でもう一点でも落としていたら達成できなかったくらいギリギリなので、「これだけやれば絶対に3000超えます!」と自信を持ってお伝えできる情報ではありません。運も良かったと思っています。
しかし、諦めずに粘り続ければ凡人でも到達できるということは、自信を持って言えます。
わたしが大人のやり直し英語を始めたのは30代半ばですし、海外に長く滞在した経験はありません。学生時代に英会話を習っていたこともありません。"My name is Azusa. I live in ** city." のレベルからコツコツ学習を続けた結果、何とかここまでたどり着けました。
ただし、そこに到達するまでの期間は人それぞれです。生活環境や持って生まれた性格など、一人ひとり全く違いますからね。他人と比べたりせず、着実に積み重ねていけば、同等の質と量に達したときに同じところにたどり着ける。語学はそういうものではないかと思っています。ですので、焦らずマイペースに続けてください。
そんな思いをまとめたツイート。
“30代で英語を始めて留学なしに3年でTOEIC900越え、4年で英検1級CSE3000越えで1発合格!”って一見キラキラしてそうに見えるかもしれないけれど
— Azusa 🇯🇵→🇦🇺 英語学習7年目/シドニー1年目 (@chibitaro0612) 2020年2月18日
☑️お金と時間を自分の為に使える独身実家暮らし
☑️職場は徒歩15分、残業なし
☑️なんの苦労もない日本の生活
☑️大都市の比較的近く在住
だから出来たことです
この時点で学習においてかなり恵まれた環境にいる訳ですが、さらに言えば、
— Azusa 🇯🇵→🇦🇺 英語学習7年目/シドニー1年目 (@chibitaro0612) 2020年2月18日
☑️試験は一年に1つだけ全力投球
☑️英語以外の趣味なし
☑️子どもの頃から独学は比較的得意(塾に行ったことがない)
☑️TOEIC955から英検1級までに1年かけた
という背景があるので、特別なことではないんですよね🧐
ですので、語学学習において人と比べる必要はないし、自分なりに頑張れば大丈夫だと思います
— Azusa 🇯🇵→🇦🇺 英語学習7年目/シドニー1年目 (@chibitaro0612) 2020年2月18日
同じ質と量に達したら辿り着きます
万が一自分と何から何までそっくり同じ環境にいる人がいて、自分より早く上達していたら、その時だけちょっと、「ちくしょー!」と思えばいいのだと思います😆
そんな質と量を叶えるには、自分で自分をコーチングする力が必要です。常に自分の英語力を客観的に判定し、学習の軌道修正をかけていく力。さらには、長い語学習得の道のりから脱落しないように工夫する力。ネット上には色んな情報が落ちていますし、1級となると他の級に比べて種類が少ないとはいえ、英検参考書もたくさんあります。上手に活用して、高得点を掴み取ってください!
英語が伸びなくて困っているという方のお話を聞かせていただくと、質か量のどちらかが足りてない場合が多い。時にはその両方。
— Azusa 🇯🇵→🇦🇺 英語学習7年目/シドニー1年目 (@chibitaro0612) 2020年2月13日
語学の才能とは、この2つをコントロールする力、つまり自分で自分をコーチングする力だと思う。語学のセンスというものもあると思うけれど、それは”質”に対する嗅覚かな🤔
この”質”というのが厄介で、他の人にとって質の高い教材や方法が、自分にとってもそうであるとは限らないということが往々にしてあるんですよね。これを見極めるセンスは磨く必要があるかなと思っています。
— Azusa 🇯🇵→🇦🇺 英語学習7年目/シドニー1年目 (@chibitaro0612) 2020年2月13日
かくいう私も、”評価の高い教材だから”と我慢して使って、遠回りしたことがあります😥
私が学習アドバイスを担当しているInspire Englishでも、英検対策コースを開講しています。1人で勉強を続けるのが辛いなぁと思ったら、ぜひ一度ご連絡ください!
英検1級合格は、国内学習者の一つのゴールであり、新たなスタートでもあります。中でもCSE3000は、高いハードルでありながらも努力すれば必ず到達できますし、目指す過程で確実に英語力のアップを実感できるという点で、良い目標になると思います。3000超えを目指している皆さん、頑張ってください!
何か質問があれば、お気軽にコメントくださいね。
Today's proverb
When life gives you a lemon, make lemonade. : 逆境に負けずにベストを尽くせ