"good Samaritan"って何?ニュースやドラマに出てくる気になる連語の由来を調べてみました。

こんにちは。

突然ですが、"good Samaritan"って聞いたことがありますか?ニュースや海外ドラマを見ているとたまに出てくるのですが、直訳すると「善きサマリア人」。それって、ちょっとよく意味が分からないんですよね。

そこで今日は、"good Samaritan"の意味と由来について調べてみました。

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"good Samaritan"とは

まずは、言葉の意味を詳しく見てみたいと思います。

good Samaritanを英英辞書で引いてみると、以下のように書かれています。

someone who gives help to people in trouble

ロングマン現代英英辞典

「困っている人々を助ける人」ということですね。

また、別の英英辞典では、以下のように説明されています。

a charitable or helpful person (with reference to Luke 10:33)

オックスフォード新英英辞典

つまり、「慈悲深く助けになる人」という意味のようです。

二つの辞書を合わせると、「困った人を助ける慈悲深い人」ということになりますね。

これまでに”Good Samaritan”を耳にしたニュースやドラマなどのシチュエーションからの推測ですが、(本来事件や事故に巻き込まれるべきではない)”善良な市民”というニュアンスが含まれているのだと思います。

"Samaritans"(サマリア人)とは

しかし、そもそもサマリア人とはどのような人たちなのでしょうか。Wikipediaによると、以下のように定義されています。

サマリア人(さまりあじん、さまりあびと)とは、時代によって意味が変わるが、主にサマリア地方の住民、特にイスラエル人とアッシリアからサマリアに来た移民との間に生まれた人々やその子孫、およびサマリア教徒のことをいう。

パレスチナ中央にあるサマリア地方の住民で、長きに渡ってユダヤ人と対立し、迫害を受けてきたそうです。

同族婚や迫害の結果、今では少数の集団になってしまったようです。

"善きサマリア人のたとえ"とは

では、そのような歴史を持つサマリア人が、なぜ"good Samaritan"というフレーズになったのかを読み解きたいと思います。

前述のオックスフォード新英英辞典には、 "Luke 10:33"と書かれています。これは、新約聖書の中の、ルカによる福音書10章33節のことです。

英語って、キリスト教と関係の深い言語ですよね。

キリスト教徒ではない私にとって聖書はなじみがないので、またWikipediaの力を借りてみました。イエス・キリストが語った、隣人愛と永遠の命に関するたとえ話のことを、「善きサマリア人のたとえ」と呼ぶのだそうです。

<10:25>するとそこへ、ある律法学者が現れ、イエスを試みようとして言った、「先生、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。

<10:26>彼に言われた、「律法にはなんと書いてあるか。あなたはどう読むか」。

<10:27>彼は答えて言った、「『心をつくし、精神をつくし、力をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。また、『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』とあります」。

<10:28>彼に言われた、「あなたの答は正しい。そのとおり行いなさい。そうすれば、いのちが得られる」。

<10:29>すると彼は自分の立場を弁護しようと思って、イエスに言った、「では、わたしの隣り人とはだれのことですか」。

<10:30>イエスが答えて言われた、「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗どもが彼を襲い、その着物をはぎ取り、傷を負わせ、半殺しにしたまま、逃げ去った。

<10:31>するとたまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ると、向こう側を通って行った。

<10:32>同様に、レビ人もこの場所にさしかかってきたが、彼を見ると向こう側を通って行った。

<10:33>ところが、あるサマリヤ人が旅をしてこの人のところを通りかかり、彼を見て気の毒に思い、

<10:34>近寄ってきてその傷にオリブ油とぶどう酒とを注いでほうたいをしてやり、自分の家畜に乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。

<10:35>翌日、デナリ二つを取り出して宿屋の主人に手渡し、『この人を見てやってください。費用がよけいにかかったら、帰りがけに、わたしが支払います』と言った。

<10:36>この三人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣り人になったと思うか」。

<10:37>彼が言った、「その人に慈悲深い行いをした人です」。そこでイエスは言われた、「あなたも行って同じようにしなさい」。

『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』という教えのキリスト教において、対立していたサマリア人が”隣り人になった”というのは、とても大きなことなんですね。

善意のサマリア人(good Samaritan)が、民族間の諍いを超え慈悲の心で人助けをするというたとえ話から、good Samaritan = 善良で慈悲深い人、という連語として定着したということが分かりました。

"善きサマリア人の法"とは

では、善きサマリア人の法(Good Samaritan laws)という法律があることをご存知でしょうか?今回"good Samaritan"の語源を調べているときに見つけたので、合わせてご紹介したいと思います。

Wikipediaによると、この法律は以下のように説明されています。 

災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない

アメリカやカナダなどでは既に施行されており、日本でも立法化について議論がなされているということです。

というのも、この法律がない場合、医療関係者が医療過誤とみなされるのを恐れて、急病人の手当てを避ける傾向にあるからなんだそうです。飛行機などである「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか?」というアナウンス。これに応じた結果、傷病者が亡くなった場合、「(医師として)救命できたはずなのに適切な処置を怠った」として、訴訟を起こされる可能性があるということを恐れるがゆえのこと。もしも、Good Samaritan Lawsが制定されれば、医療従事者が万が一の事態を恐れて救命措置を行わないという事態が避けられます。

日本では明文化はされていないものの、法の解釈により、”善意に基づくものであれば現在の日本では民事上も刑事上も免責される”という説が有力のようです。ですが法律として制定されれば、いざという時に、居合わせたプロの救命措置が受けられる可能性が高まるはず。

法律として定めるためには、議論されるべきことが色々あるのかもしれませんが、より良い社会になるのであれば、ぜひ立法化してもらいたいものです。

まとめ

"good Samaritan"についての本日のまとめはこちら。

Point

"good Samaritan"は、『善きサマリア人』と訳され、「困った人を助ける慈悲深い人」を意味します。
語源は、新約聖書の「善きサマリア人のたとえ」。
また、"Good Samaritan laws"と呼ばれる法律があり、これは、「災難に遭ったり急病になったりした人など(窮地の人)を救うために無償で善意の行動をとった場合、良識的かつ誠実にその人ができることをしたのなら、たとえ失敗してもその結果につき責任を問われない」というものです。

以上、ドラマやニュースで気になる連語、”good Samaritan”の解説でした。

Today's proverb

A creaking gate hangs longest.:一病息災