こんにちは。
英語を勉強しているというと必ず薦められるアメリカのドラマ、『フレンズ』。シットコムと呼ばれるシチュエーション・コメディで、10年も続いた大人気ドラマです。放送終了後もなお世界中から愛されています。このドラマ、英語やアメリカ文化を学ぶのにぴったりということで、日本だけでなく、あらゆる国で英語学習に使われているんです。
とはいえ、シットコムは好みが分かれるジャンルの一つだと思います。わたしも最初の頃はあまり馴染めず、何度か投げ出しそうになりました。しかし、幾度かの挫折を乗り越えて全話視聴した結果、英語の伸びに確かな手応えを感じました!
今日は英語学習定番の海外ドラマ、『フレンズ』をご紹介します。
『フレンズ』とは
もはや説明不要かもしれませんが、馴染みのない方のためにご紹介します。
『フレンズ』(Friends)は、アメリカ合衆国のNBCで1994年から2004年にかけて放送されたテレビドラマ(シチュエーション・コメディ)。
いわゆるジェネレーションX世代である「社会に出てもなかなか大人になれない」登場人物たちの、都会的なライフスタイル、友情や恋愛を、オフ・ビートなユーモアでコメディに仕立てあげている。
Wikipedia
端的に説明すると、ニューヨークのマンハッタンに住む20代の男女6人が繰り広げるドタバタ劇です。1994年にアメリカで放送を開始して以来、世界中にファンを持つようになり、最もヒットしたシットコムの1つと言われています。
2004年5月6日のシーズン10最終回は、アメリカでなんと5,250万人もの人が視聴したんだそう。
日本では、WOWOWや地方局での地上波放送で人気が広まり、もっとも良く知られる海外ドラマの一つとなっています。
ちなみに、ジェネレーションX(Generation X)とは、アメリカで1960年代から1970年代に生まれた世代のこと。ヒッピー運動の衰退とベトナム戦争の終結による「しらけムード」の中で10代を過ごし、就職難を経験した結果、個人主義と内向性を特徴としており、政治や社会に対して冷めている傾向が強いんだそうです。
そんなドライな空気が、フレンズの笑いを生み出しています。
主な登場人物
レイチェル・カレン・グリーン/ジェニファー・アニストン
お金持ちで世間知らずのわがままなお嬢様。3姉妹の長女。
夢だった医者との結婚の途中で逃げ出し、高校時代の親友だったモニカとルームメイト生活を始め、社会人として自活するようになる。
モニカ・エリザベス・ゲラー/コートニー・コックス・アークエット
レイチェルの高校時代の親友で、レストランの料理人。
性格は極度の潔癖症で、かなりの負けず嫌い。しっかり者な生活が災い(?)して、レイチェルとの同居生活が始まる。
フィービー・ブッフェ/リサ・クドロー
マッサージ師で、ミュージシャン。モニカの元ルームメイト。
同居していたモニカの潔癖症についていけず本作開始前に引っ越しているが、その後も友人としてよくモニカの部屋に遊びに行っている。複雑な家庭環境を持っており、性格はかなりユニーク。
ロス・ユースタス・ゲラー/デヴィッド・シュワイマー
モニカの兄で古生物学者。両親から特にかわいがられて育つ。
大げさな発音で話すのが特徴。博識で、時々小難しい話をすることがあり、褒められるのが大好き。愛情深いが、嫉妬心が強く頑固。
チャンドラー・ミュリエル・ビング/マシュー・ペリー
愛煙家の会社員。モニカのアパートの向かいの部屋に、親友のジョーイとルームシェアしている。ロスとも大学時代のルームメイトで親友。
ユーモアやジョークであらゆることを茶化す皮肉屋。
ジョセフ・フランシス・トリビアーニ・ジュニア/マット・ルブランク
モニカのアパートの向かいの部屋に住んでいる、チャンドラーのルームメイト。愛称はジョーイ。
子供っぽく、細かいことは気にしない大食漢。陽気で天然な発言や行動が多い。
英語教材としての評価
『フレンズ』が英語(特にアメリカ英語)の習得に良いということは広く知られており、海外ドラマで英語を学ぼうとした時に、1番オススメされる作品です。
その効果は、日本だけでなく海外でも認められており、アメリカ人英会話講師が選ぶオススメのドラマNo.1にも選ばれていました。
最近も、流暢な英語を話すドイツ人サッカー監督が、『フレンズ』で英語を身に付けたと話したことがニュースになっていましたね。headlines.yahoo.co.jp
日本では、南谷三世さんが運営する『フレンズ』英語学習サイトが有名ですよね。南谷さんは、『フレンズ』だけでなく様々な海外ドラマで英語学習をし、海外経験なしで英検1級、TOEIC満点を取得されています。
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日本語と英語は、言語としての距離が遠く、文法や単語が大きく異なるので、残念ながら「海外ドラマを見ているだけで英語がどんどん喋れるようになる」なんて魔法のようなことは起こりません。しかし、テキストを離れ、リアルな英会話を学ぶ上で、海外ドラマは欠かせないツールだと思います。
中でも、友情、仕事、家族、恋愛、結婚、出産などが、アメリカの文化とともに描かれた『フレンズ』は、日常会話を身につけるのにぴったりな、ナチュラルなアメリカ英語の宝庫なんです。
シットコムの苦手意識を取り払う
さて、そんな世界中から愛される『フレンズ』ですが、なんだかちょっと苦手…という方、いらっしゃいませんか?実はわたしもそうでした。『フレンズ』やその他のシットコムを見たことのある方はご存知だと思いますが、バラエティやコント番組のような笑い声が入っているんですよね。
あの内輪的な笑い声とドタバタ感に抵抗感があって、慣れるまでにかなり時間を要しました。(シーズン1を見終わるまで馴染めなかったので、約9時間かかったことになります。)
さらに、面白いと思えるようになったのはシーズン4くらいから。その頃には約20時間を、”フレンズの世界に馴染む”ことに費やしていました。
シットコムへの苦手意識は、時間だけが解決してくれた訳ではありません。『フレンズ』やシットコムについて調べるうちに、苦手と思っていたことをポジティブに捉えられるようになったからです。
シットコムが好きな方は読み飛ばしてください!
笑い声が苦手
まず1番抵抗感を感じる笑い声について。これ、初めは日本のバラエティなどのように、スタッフなどの笑い声だと思っていたんです。もしくは、SE(音響効果)として入れられたものなのだろうと。
しかしこれ、観客のリアルな笑い声なんです!
というのもシットコムは、観客の前で演じて収録されるんですね。また、屋外などのシーンは、事前に撮影した上で、観客の前で上映しているそうです。つまり、演劇をドラマとして収録しているようなものなんです!
ただし、NGがあったりすると、観客は同じシーンを何度も見ることになるため、笑い声が小さくなってしまい、SEとして笑い声が足されていることもあるようです。
アメリカ人の英会話の先生に、「日本の映画館は静かだね」と言われたことがあります。あちらでは、皆で笑ったり野次を飛ばしたりしながら見るのだとか。周りの人と感想を共有しながら賑やかに鑑賞する文化が、シットコムにも反映されているのかもしれません。
そう考えると、これも文化のひとつとして楽しんでみようという気持ちになれました。
ノリが苦手
『フレンズ』の笑いは、いわゆるアメリカンジョークです。笑いの感覚って国によって大きく異なるので、ドラマに笑い声が入っているのに、何が面白いのか分からないなんてこともしばしば。特に日本語吹き替えの場合、ステレオタイプ的な”アメリカ人”が日本語で繰り広げるアメリカンジョークなので、違和感が大きく、全然乗れません。
しかし、日本語訳を介さずに見てみると、ぐっと印象が変わります。アメリカンジョークの面白さは、英語でないと分からないのかもしれないと思うほど。
しかも笑いの感覚には、個人の性格に加え、生まれ育った環境も影響します。ドラマを見ただけですぐに変わる訳ではありませんが、何十時間とその世界に触れている間に、自然と身体に馴染んできました。
当時のアメリカの文化的背景を知らないと全く分からないものもたくさんありますが、ちょっとしたやり取りに関しては、気が付いたら声を出して笑うようになっていました。
大げさな演技が苦手
かなりドタバタ感のある『フレンズ』。演技も大きめなので、ドラマにリアルさを求める方には「なんか大げさ…」と感じますよね。
しかしこれも、お客さんの前で演じているから。つまり、吉本新喜劇的な状態なんですね。
カメラの前の演技と、遠くにいるお客さんにまで見せる演技は違って当然なんです。
カメラが捉えた映像作品ではあるけれど、劇場で他のお客さんと一緒になって鑑賞している気分に切り替えたら、一気に楽しめるようになりました!
『フレンズ』が英語学習教材に向いている理由
苦手意識を取り除くことができたら、最強の英語学習素材とも言える『フレンズ』。実際に全話視聴してみて、確かに他のドラマにはない利点があることが良く分かりました。
英語の発音がクリア
上でも書いた通り、『フレンズ』はお客さんの前で収録しています。
アメリカのドラマ『This Is Us』でゲヴィンがお客さんの前でシットコムを演じているシーンがあるので、見てみるとイメージが湧くと思います。
舞台出身の俳優さんって滑舌が良いですよね?通常のドラマはボソボソと喋ってもマイクが拾ってくれますが、広い会場で演じる場合、滑舌良く喋らないと聞き取ってもらえないんです。
だから『フレンズ』の英語は、発音がハッキリしていて、そんなに早口ではないので、英語学習にもってこいなんです!
会話のテンポが良い
シットコムは基本的に気楽に楽しむコメディなので、小難しい話や、ややこしい話題は出てきません。また、笑いを生み出すために、リズム良く短い文章で会話しています。
特に10年も主要キャラクターが変わらず続いた大人気シリーズですので、6人の息はピッタリ。グルーヴ感のある会話が繰り広げられています。
そのため、会話のテンポが非常に良く、英語で楽しく会話をする時のリズム感を肌で感じることができるんです!
会話が面白い
英語学習のために海外ドラマを見るのであれば、同じシーンを何度も繰り返し見る必要があります。しかし、先の展開を知ってしまうと、繰り返し見るのが苦痛になってしまうことってありますよね。
『フレンズ』の面白さは、ストーリーそのものよりも、6人のやり取りにあります。だから先が分かってしまっても、繰り返し飽きずに見られるんです。
登場人物のバランスが良い
海外ドラマを英会話に活かす場合は、英単語やフレーズだけでなく、話し方やジェスチャーなども真似すると、英語らしい英語が身につきます。しかし、自分が真似したいと思えるキャラクターに出会うためには、色々なドラマを見なくてはなりません。
『フレンズ』は主要キャラクター6人がバランス良く登場するので、その中の誰かを真似るのにピッタリです。その役になったつもりで、ドラマに合わせてセリフを言ってみるのも効果的です。
わたしはモニカに自分を投影して見ています。
一話が短く、トータルは長い
『フレンズ』は1話あたり22分です。なので、無理せず毎日見ることができます。継続は力なりと言いますが、英語学習も続けること、とくに毎日英語に触れることが上達のコツです!
1時間のドラマとなるとまとまった時間をとって見る必要がありますが、22分なら時間を確保しやすいですよね。
さらに、シーズン10の最終回まで見ると、エピソードの数は、全236話にもなります。つまり、約87時間30分もの間、日常会話ですぐに使える英会話に触れていたことになります。
日本国内で英語を勉強しているとぶつかるのが、絶対量の壁です。特に、リアルな英会話に触れる時間を作るのはなかなか大変ですよね。『フレンズ』なら、ドラマを楽しんでいるうちに自然とインプットの量が上がります。
『フレンズ』で吸収したことは、英会話レッスンなど英語の実践の場で、どんどん使っていきましょう!
シーズン10まで見た効果
それでは、『フレンズ』をシーズン1から10まで全236話、約87時間30分見て感じた効果をご紹介します。
前提としてこれまでのわたしの視聴方法ですが、
- メモは取らない
- 辞書は引かない
- 全部英語音声+英語字幕
- 日本語吹き替えや字幕は見ない
- ちんぷんかんぷんなところ以外は見直さない
といった感じです。英語学習のために『フレンズ』を見たというよりは、純粋にドラマとして楽しんだに等しいですね。
英語のレベルとしては中級〜上級にいるのですが、7〜8割の理解度でした。“だいたい話にはついていけるけど、細かいところはサッパリ分からない”といったところですね。
こんな適当な鑑賞方法ですが、それでも充分効果を感じています。
何気ない会話が平気になる
まずはこれ。何気ない会話が怖くなくなりました!
「英語を話すぞー!」と意気込んでいるレッスン中は平気なのに、休憩中などふとした時に英語で話しかけられると緊張してしまうことってありませんか?
『フレンズ』を見ることが、何気ない会話のシミュレーションになっています。頭の中でイメージは出来ているので、あとは実践するのみ!
もちろんドラマのようにスムーズな会話にはならず落ち込むこともありますが、それも英語力を上げる良いきっかけになります。目標とするイメージは見えているので、あとはドラマを視聴しながら、引き出しを増やしていけば良いんですもんね。
『フレンズ』のおかげで、以前に比べて雑談が怖くなくなりました。
とっさのひとことが出てくるようになる
相手の話を聞いている時に、内容に応じた反応ができなくて悩むことってありませんか?。例えば「よかったね。」「いいなぁ。」「残念だったね。」「本当に?」「すごい!」などなど、相手の話に反応するひとことは、会話をスムーズにしたり盛り上げたりするのに欠かせないですよね。
以前ご紹介した日常会話表現のフレーズ集でもインプットできるんですが、やっぱり実際に使われているシチュエーションを見ると、すぐに使える表現に昇華できます。
おかげで、楽しく会話ができるようになりました!
疑問文で会話を続けられる
会話を弾ませるには、相手の話への反応が欠かせません。上で挙げた相手の気持ちに寄り添うような返し以外に、話を掘り下げたり膨らませたりするための”質問”も、楽しく話す上で大事なポイントですよね。
でも、とっさに疑問文を作るのって難しくありませんか?文法知識として、どういう文型になるのかは分かるけれども、いざ疑問文にしようとするとぐちゃぐちゃになってしまう…。わたしはそんな状態が長く続きました。
困った時は、肯定文のまま語尾をあげてクエスチョンにすれば、何とか切り抜けられるんですが、英語力が中級レベル以上になってくると、なんとかしたいポイントですよね。
そんな悩みを抱えて、瞬間英作文でトレーニングしたものの、やっぱりいざ実践の場でとなるとなかなかするっとは出てきません。
『フレンズ』では、短いセンテンスのやりとりが続く中で、数々の疑問文が出てきます。何度も聞いているうちに、疑問文の形式が染み付いてきます。すると、いざ自分が話す時にも出てきやすくなるんです。
お陰で、相手の話の気になるポイントに、テンポよく食いつけるようになりました!
アメリカ英語のリズム感が身につく
『フレンズ』を全話見て1番感じた効果がこれです。アメリカ英語のリズム感が格段に上がります。このリズム感を手に入れられるかどうかで、英語らしい英語を話せるようになるかどうかが大きく変わります。
そもそも、日本語と英語ではかなりリズムが異なります。例えるなら、日本の唱歌とロックミュージックのような違いです。(さらに、英語圏の中でも、国や地域によって異なります。)この違いは、何度も英語を耳で聞いて、真似していくしかありません。
『フレンズ』を全話視聴すると、約87時間30分もの間、アメリカ英語のシャワーを浴び続けることになります。特に、心理描写よりも会話が主軸のドラマですから、1分あたりに聞ける英語の量は、他のドラマよりはるかに多いです。
そのお陰で、初めてレッスンを受けた先生に、「アメリカ行ってたの?」と聞かれました!
『フレンズ』を視聴するには
『フレンズ』は世界的に人気なドラマなので、視聴する方法がたくさんあります。
お好みに合わせて選んでみてください。
英語字幕あり
英語学習のために見るのであれば、できれば英語字幕はあった方が便利だと思います。ネットなどで探せばスクリプトは手に入りますが、同じ画面で見れた方が楽だと思います。
Hulu
Huluでは各月ごとに、奇数・偶数の各シリーズを配信しています。ちゃんと計画を立てて見られる方であればオススメ。
Netflix
Netflixでは2019年8月現在、全話を制限なしで配信しています。しかし、2020年の春ごろに配信を終了することが発表されています。ハイペースで見られる方であればオススメです。
DVD/ブルーレイ
配信終了などを気にせず見られるDVDやブルーレイは、割高ですが安心できますね。自分のペースで進めたい方にオススメ。
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海外版であれば、かなり安く手に入ります。日本語字幕はありませんが、中級以上のレベルで、リージョンフリーのプレーヤーをお持ちの方であれば、こちらが圧倒的にオススメです。
わたしは海外版を買いましたが、何とかストーリーにはついて行けました。
英語字幕なし
スクリプトは別で手に入れるから大丈夫!という方は、英語字幕なしの配信サービスを使うという手もあります。
U-NEXT
U-NEXTは国内の動画配信サービスなので、現在英語字幕の選択肢がありませんが、全話配信されています。気楽に『フレンズ』で英語を勉強したい方にはオススメ。
Amazonプライム・ビデオ
Amazonプライム会員の方なら、Amazonプライム・ビデオでも全話見られます。洋書も豊富でお得なKindleと合わせて、英語学習に取り組みたいという方は、こちらがオススメです。
まとめ
とっても長くなりましたが、実際に『フレンズ』を全話視聴した成果のまとめはこちら。
『フレンズ』を使った英語学習で、(アメリカ)英語らしい英語が身につき、英語での会話が弾むようになります!
英語学習の定番海外ドラマ『フレンズ』ですが、実際に見てみると、オススメされている理由を実感しました。今回はざっと見ただけなので、繰り返し見て、日常会話で使えるさまざまなフレーズを盗んでいきたいと思います。
ちょっと古いことは否めませんが、面白さは色褪せていませんよ。
かつてのわたしのように、「シットコムってなんだか苦手…」と思っている方が、この記事を読んで『フレンズ』に興味を持ってくださったら嬉しいです♪
Today's proverb
The peacock has fair feathers, but foul feet.:美しいものにも難点はある