海外移住を目指すならカナダにチャンスあり!?【移民の歓迎を表明】

こんにちは。

英語を勉強していると思うのが、「海外に住んでみたい!」ということ。しかし、わたしは30代半ばで英語学習を始めたので、ワーホリの対象外です。かといって、簡単に海外で働ける仕事も見つからないし、世界的に移民の受け入れが厳しくなっていく一方

…と思っていたら、カナダが「2021年までの3年間に100万人以上の移民を受け入れる」と表明しました。イギリス、アメリカ、オーストラリアといった英語圏の国々の移住の条件が厳しくなる中、移民歓迎のカナダは、海外生活を夢見るひとたちにとって大きなチャンスになるかもしれません。

そこでこのカナダの移民受け入れ政策について調べてみました。

カナダの湖

カナダの移民受け入れ計画の中身

カナダ議会の発表によると、今後3年間で100万人の移民を受け入れる計画とのこと。これで、毎年1%程度人口が増える計算になります。2019年は35万人、2020年は36万人、2021年は37万人の永住権を認める予定だそうです。

カナダでは5人に1人が移民と言われており、1990年から合計600万人の移住者を受け入れてきました。アメリカはおよそ7人に1人の計算ですから、カナダの移民の比率は高いですね。

カナダでは平等主義に基づく移民プログラムで、移民政策において世界を牽引しており、外国人であっても人種、国籍、民族、肌の色、宗教、性別に関係なく扱われるとのことです。

edition.cnn.com

www.google.co.jp

先日もカナダは、家族からの虐待を逃れ亡命を求めていたサウジアラビア人女性の難民受け入れを表明しましたね。

www.tokyo-np.co.jp

なぜカナダは移民歓迎なのか

アメリカを含む西側諸国が移民に対して厳しい政策を取る中、なぜカナダは移民歓迎の姿勢を貫いているのでしょうか。

こちらのサイトに分かりやすくまとめられていたので、この記事を元に紐解いてみたいと思います。

https://twentytwowords.com/canada-wants-take-1-million-immigrants-next-3-years/

社会問題解消

IRC(Immigration, Refugees and Citizenship)による2018年度のレポートによると、移民受け入れによって増える問題よりも、カナダの発展への貢献度の方が大きいとのこと。

IRCの大臣は、「移民とその子孫による、カナダに対するこれまでの貢献度は計り知れず、国のこの先の発展は移民受け入れの継続にかかっている。」と述べています。

現在カナダが直面している問題として、

  • 高齢化社会
  • 出生率の減少

が挙げられます。日本を含め、先進国各国が抱えている問題と同じですね。

移民が労働力の増加に貢献することで、これらの問題を解消する助けになるということです。

経済貢献

カナダの一部の人たちは、移民を”free-riders(タダ乗りする人)”と批判していますが、現実はタダ乗りではありません。カナダは2017年に286,000人以上の永住者を受け入れましたが、その半分以上Economic Classと呼ばれるプログラムで移住しています。このEconomic Classは、カナダにおいて経済的な地位を築く能力を持った人たちのみが利用できるクラスです。

また、上記の286,000人のうちの44,000人は、人道支援の元に保護され、定住した難民たちです。

今後2020年までの3年間、移民の受け入れ人数を年間340,000人まで段階的に引き上げていく計画ですが、そのうちの60%をEconomic Classとするとしています。Economic Classの移民の増加は、労働力の維持を助けるだけでなく、経済成長や技術革新に拍車をかけると期待されています。

移住を希望する側からすると、このEconomic Classといった職能によるクラス分けが、移住のハードルを上げるのですが、受け入れる側としては、必要な労働力が手に入るという大きなメリットとなりますね。

移住手続きの高速化

これまでに溜まっていた未処理の申請に対応することで、移住手続きサービスの向上が見込まれるとのことです。配偶者や家族を呼び寄せるための審査は24ヶ月から12ヶ月に短縮され、介護者の審査も12ヶ月以下になるとのこと。

どの国も一般的に、移住の申請プロセスはとても大変で、準備に時間がかかります。その上、申請してから承認されるまでにも年単位の期間がかかると言われており、移住を試みる人たちにとっては、しんどい道のりです。このプロセスがスムーズなるというのは、カナダと他の国で離れ離れに暮らすカップル、家族にとって朗報ですね。

選ばれた労働力

あくまで移民の受け入れプログラムは、カナダ経済の強化と繁栄のためのものであり、カナダ全土で移民受け入れのメリットが共有されます。その年毎に受け入れ対象を設定し、経済と社会の繁栄に最も貢献すると期待される人を選びます。誰もかれもを受け入れる訳ではないので、移民受け入れによるメリットが大きいということですね。

移住者は経済貢献度だけで選ばれるわけではありません。先に挙げたように、移民の受け入れにより高齢化社会の緩和が見込まれているので、必然的に、受け入れされる移民の平均年齢は、カナダ人の平均年齢よりも若くなります。それにより、退職者に対する現役労働者の割合の減少を食い止める助けとなります。

職業的な能力だけでなく、年齢も考慮される。まるでカナダという国の就職試験を受けているかのようですね。

労働力不足の解消

カナダでも労働力不足は問題となっています。特に、医療、科学、専門職、運送業、技術などの分野で人材が不足しており、ここのギャップを埋められれば、経済成長が活性化されます。

また、Provincial Nomineeという移住プログラムを通して、特定地域における労働力のニーズに応えることができるので、カナダ全域がちゃんと移民受け入れの恩恵を受けられるようになっています。

ちなみに、2017年の主な移住申請者の職業TOP5は、

  • 情報システムアナリスト/コンサルタント
  • ソフトウェアエンジニア
  • コンピュータプログラマー/インタラクティブメディア開発者
  • 会計監査人/会計士
  • 秘書

だそうです。

将来移住を検討するのであれば、職業選びが大切ですね。

国民と同等の労働成果

”タダ乗り”と批判される移民ですが、労働参加度は元々のカナダ国民と変わりません。2017年の調査では、10年以上前にカナダに移り住んだ25歳から54歳までの移民のうち、86.9%が働いています。カナダ生まれのカナダ人が88.4%ですから、ほぼ同じですね。

移民の収入は、カナダで暮らす時間とともに上昇します。平均的に、移住から12年でカナダ国民の平均収入と同等になるそうです。さらに、Canada Experience ClassとProvincial Nominee programによる移住者の収入は、移住初年度からカナダの平均年収を上回るそう。

12年というと長くかかるようですが、経済発展の遅れている国の人たちにとっては、とても大きなチャンスですね。

地域社会への貢献

長期的にみると、移民の受け入れは、市民的社会参画(ボランティア活動、地域奉仕活動)を通して、コミュニティをより良くします

移民の多くがカナダの市民権を獲得し、カナダに長期的に貢献しています。2016年、市民権を獲得する資格をもつ移民の数は650万人以上で、その86%が実際に市民権を獲得していました。この割合は同様の国の中で最も高い数字です。

また、移民たちはカナダ社会で活躍しています。2016年には、32%の移民がボランティア活動に従事し、61%が何かしらの社会組織に所属していたとのこと。これはカナダ生まれの人たちに比べて若干少ない程度の比率です。

経済だけでなく、積極的な社会活動への参加が、カナダの社会を豊かにしているんですね。

才能・技量の流入

移住の要件により、”Canadian talent pool”が増えます。25歳から64歳までの移民のうち、およそ半分が学士号以上を持っています。同年代のカナダ生まれの人では1/4以下とされているので、移民の増加が、カナダに才能・技量を持つ人材をもたらすと言えます。

さらに移民の子供たちは、大学修了率が41%と、生まれながらのカナダ人の子どもの24%に比べて、非常に高くなっています。これも、移民の受け入れが”Canadian talent pool”を増やすといわれる所以ですね。

人道主義の伝統の維持

IRCC(Immigration, Refugees and Citizenship Canada)は、ヤジディ教徒の女性や子供たち、その家族など、ISの手から逃れた1,400人以上の難民を受け入れました。さらに、2017年には26,000人の難民と、15,000人の被保護者を受け入れ、移住サービスを提供しています。

こうした難民・被保護者たちの深刻なニーズに応えるためには、移住サービスコミュニティとの協調が重要とし、カナダの人道主義を貫いています

留学生の経済効果

留学生のような一時的な滞在者も、カナダに莫大なお金をもたらします。2016年には、カナダへの訪問者と留学生がカナダ経済にもたらした金額は、318億ドルにも上ります。これは、2019年1月の相場で26兆円になります。

カナダ国民の反応

政府のこの発表に対し、カナダの人たちの意見は真っ二つに割れています。移民の受け入れによって、治安が悪化することを心配する声や、ホームレスや失業者、高額な税金などの問題を先に解決すべきという意見などが上がっているようです。

アメリカや西側諸国が移民の受け入れに対して消極的な姿勢を示していることからも分かるように、移民の受け入れにはメリットとデメリットがあります

日本は移民政策という明確な形を取っていないものの、2018年1月1日時点で、外国人人口が250万人に達しています。カナダ同様、高齢化社会と出生率の減少、労働力不足の問題に直面している日本。移民を受け入れる側としても、真剣にこの問題を考えていかなければならないですね。

個人的なカナダ愛

わたしは、2016年にカナダに1週間ほど旅行に行ったことがあります。広大で豊かな自然と歴史ある建物に囲まれ、治安がいいので、とても居心地のいい国でした。人々もとても優しいです。

帰りの空港に向かう道中、線路工事により電車が途中で止まり、バスに乗り換えなくてはならなかったのですが、ポケットWi-Fiを持っておらず、当時のわたしの英語力はビギナーレベル。初の海外一人旅。何が起きているのか、どうすればいいのか何もわからず、大きなスーツケースを持ってホームに立ち尽くしていたら、親切なおじいさんが声を掛けてくださいました。なんでも以前日本に住んでいたことがあるとか。スーツケースを持っていることから、空港に向かっていることに気付いて、声を掛けてくれたようです。日本の思い出話をしながら、代替のバスの乗り場まで案内してくれ、乗るバスが来るまで一緒に待ち、運転手さんに「この子は○○まで行くから」と説明までしてくださいました。おかげで飛行機に乗りそびれることなく、無事帰国できました。あのおじいさんにはとても感謝しています。

 

カナダにワーホリに行ったことのある友人・知人からも悪い話は全然聞きませんし、住みやすい国なんじゃないかと思います。今回の政策を含め、移住を検討するのであればとても魅力的な国ですね。

しかし、他の国に比べて移民の受け入れに積極的とは言え、英語だけできても移住の要件を満たせないことには変わりません。海外移住を目指すのであれば、高校卒業後の進路やその後のキャリア選びまで、真剣に考える必要があります。勢いだけではVISAの壁は乗り越えられないんですよね…。

 

Today's proverb

Two heads are better than one.:三人寄れば文殊の知恵